トップページ » 第9回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く【終】

第9回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く【終】

長かったクラブライセンス交付規則もこれで最終回

前回までで一応全部見たつもりだったのですが、一箇所抜けがありました。
それを最初にやっつけてから全体の総括に入りましょう

今回新しく扱うのは交付規則第7条です

MOKUJI

第1回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第2回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第3回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第4回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第5回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第6回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第7回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第8回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第9回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

---

①クラブライセンス制度とは
クラブライセンス制度とは、2013年からスタートするJリーグの認証制度のこと。
大ざっぱに言うと、クラブがちゃんと経営できてるかチェックするぞという話

具体的に言うと、交付規則第7条に全てがまとめられています

第 7 条 〔審査上の基準と等級〕
 
(1) Jライセンスの交付に関する審査は、以下の 5 つの基準(以下「ライセンス基準」という。)について行われる。これらの各ライセンス基準は、J1クラブライセンスとJ2クラブライセンスとで求められる内容が異なることがある。
 
① 競技基準(第 8 章)
② 施設基準(第 9 章)
③ 人事体制・組織運営基準(第 10 章)
④ 法務基準(第 11 章)
⑤ 財務基準(第 12 章)

これら5つの基準を満たすことでクラブライセンスが発行されるという制度。
ライセンスの種類については第3回で見ていますが、要するにスタジアムの収容人数ですね

第 7 条 〔審査上の基準と等級〕
 
(2) 前項の各ライセンス基準には以下の 3 つの等級に分けられ、各等級の定義はそれぞれ以下のとおりとする。
 
① A等級
A等級基準はライセンス申請者による達成が必須のものである。ライセンス申請者によるA等級基準の未充足は、当該ライセンス申請者へのJライセンスの交付拒絶事由を構成するが、当該ライセンス申請者に対して本交付規則第 8 条に定める制裁は科されない。
 
② B等級
B等級基準はライセンス申請者による達成が必須のものである。ライセンス申請者によるB等級基準の未充足は、当該ライセンス申請者へのJライセンスの交付拒絶事由を構成するものではないが、当該ライセンス申請者に対しては本交付規則第 8 条に定める制裁が科され得る。
 
③ C等級
C等級基準は、ライセンス申請者による達成が推奨されるものであり、将来において、達成が必須のものと改められる可能性があるものである。ライセンス申請者によるC等級基準の未充足は、当該ライセンス申請者に対するJライセンスの交付拒絶事由を構成するものではなく、また、当該ライセンス申請者に対して本交付規則第 8 条に定める制裁が科されるものでもない。

それらはA等級、B等級、C等級の3段階で設定されています

A等級は、満たさなければライセンスは発行されません
B等級は、発行はされますが代わりに制裁があるかもしれません
C等級は、目標水準なので発行・制裁ともに現段階では関係ありません

これらの詳しい中身はすでに触れてきました。
簡単に言えば交付規則第7条の水準を満たすか否かという話がクラブライセンス制度。
私たちサポーターにとっては、それが一番大事なことでしょう

長々とやってきましたが、つまりはそういうこと

---

②これまでの概要
さて、ここまで8回にわたってクラブライセンス制度を見てきました。
そこで扱った内容をまとめると以下の通り


第1回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆交付規則公開前の大ざっぱな流れ
資料:平成22年度 第2回理事会 協議事項 (2010.5.20) など

第2回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆クラブライセンス制度の目的
資料:交付規則第4条、AFC規則第1.1項 など

第3回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆CLAなどのクラブライセンス制度に関わる用語の説明
◆ライセンスの付与、有効期間、種類など
資料:交付規則第10条~第23条、別紙1

第4回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆ライセンス制度上の制裁
◆ライセンスの申請から交付までのフロー
資料:交付規則第8条、第24条~第27条、別表1

第5回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆施設基準
資料:交付規則第34条

第6回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆競技基準、人事体制・組織運営基準、法務基準
資料:交付規則第33条、第35条~第36条

第7回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆財務基準
資料:交付規則第37条、交付規則運用細則

第8回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
◆クラブライセンス決定会議
◆競技基準、施設基準、人事体制・組織運営基準
◆AFC規則等との関係
資料:交付規則第2条、第25条、第27条、第29条、別紙1、交付規則運用細則


こうしてみると、交付規則で触れたのは、第2条、第4条、第7条~第8条、第10条~第27条、第29条、第33条~第37条、別紙1、別表1、交付規則運用細則ということになります

交付規則は現在全42条から構成されているのですが、見れなかった部分も多々あります。
多くは、定義などであまり重要性が高くないものだと考え外したものです。
一方で準加盟クラブの話(第20条)やAFC関連の項目(第7章)も見る余裕がありませんでした

一連の流れとして見ようと思っていたので、どうしても拾いきれなかった論点があります。
(前項のように拾い忘れはもう多分きっとないはず)

---

③クラブライセンス交付規則のススメ
今回のシリーズでは、クラブライセンス制度の一部をピックアップする形を取りました。
クラブがライセンス交付を受ける上で重要なところを中心に見たかったというのが一点。
そして何より、分量の多さ(全体で実に116P)も大きな理由です

でも、別の読み方だって出来るはずです

Jリーグクラブライセンス交付規則

序文
第1章 総則
第2章 手順
第3章 ライセンス交付機関(ライセンサー)
第4章 ライセンス申請者
第5章 ライセンス
第6章 ライセンス申請手続(コアプロセス)
第7章 AFCクラブ競技会への出場資格
第8章 競技基準
第9章 施設基準
第10章 人事体制・組織運営基準
第11章 法務基準
第12章 財務基準
第13章 雑則
別紙1 定義集
別表1 Jリーグ クラブライセンス 申請から交付までのフロー
Jリーグクラブライセンス交付規則運用細則

1.総則
2.運用細則
3.ライセンス申請フロー
4.FIBの審査手続
5.ABの審査手続
6.雑則

 各種書式

これらは交付規則及び交付規則運用細則の章立て。
この流れに従い、順々に見ていく読み方もあるでしょう(というかそれが王道)

CL08
CL09

これらは運用細則にあるフローチャートと提出書類の書式です。
こういった資料に基づいて実務的に読む読み方も有用だと言えます

当ブログで取り上げたのはクラブライセンス制度のほんの一面でしかありません。
是非興味を持った方は交付規則だけでもいいので読んでみてください。
幸い、この条文は非常に厳密に定められているため、読みやすい部類ですよ

---

④クラブライセンス制度実施を受けて、我々サポーターのするべきこととは
このクラブライセンス制度始動にあたって、サポーターのするべきこと、出来ることは何か。
このシリーズをまとめながら数ヶ月ずっと考えてきました。
結論から言うと、正直言ってあまり多くはないと思います

今までと変わらず試合を見に行ってグッズを買い、仲間を観戦に誘うこと。
そして、もしクラブがスタジアム建設運動を進めているなら署名活動もあります

【参考】
サッカー専用スタ実現へ訴え
《2012年9月13日閲覧 中国新聞》

これらに加えてチェック機能の一つとなることが重要になってくるのではないでしょうか

サポーターは直接的にクラブに影響することは出来ません。
しかし、サポーターズミーティング等を通してクラブに意見をあげていくことは出来ます

我々サポーターはただの客ではありません。クラブとともに生きていく存在です。
どうすればクラブをより良くしていけるかを一緒に考えていく。
そういった役割をしっかりと果たし、意識を高くしていくことが大事なのではないか

そういう思いを強くしました

佐藤寿人のディナモ・ザグレブ移籍を考察する
《12年9月13日閲覧 クロアチア・サッカーニュース (& リトアニア・サッカーニュース)》

「フロントと選手は通り過ぎる存在で、残るのはディナモと俺たちだけだ」

---

以上で「Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く」シリーズを〆たいと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました

今後もこのような形でブログを更新していく予定です。
もしよろしければご一読ください

トラックバックURL
コメントを書く




情報を記憶: 評価:  顔   星