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2012年08月

第7回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

各種基準の話も今回で最後

第7回はクラブライセンス制度の要となる財務基準…範囲は交付規則第37条。
今回は分かりやすくするために運用細則の方にも触れていきます

MOKUJI

第1回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第2回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第3回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第4回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第5回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第6回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第7回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第8回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第9回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

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まずは財務基準の目的など。
交付規則第37条第1項~第3項がそれに当たります

第 37 条〔財務基準〕

(1) 財務基準の目的は以下のとおりとする。
① クラブの経済的および財務的能力を向上させること
② クラブの透明性と信頼性を高めること
③ 債権者保護を重視すること
④ シーズンを通じた国内競技会および国際競技会の継続性を保護すること
⑤ 国内競技会および国際競技会における財務面でのフェアプレーを監視すること

(2) ライセンス申請者が何らかの連結対象となる会社を有しており、当該ライセンス申請者が支配会社である場合には、個別財務諸表のほか、連結財務諸表をライセンサーに提出しなければならない。

(3) ライセンス申請者の関連当事者との取引は、日本国の会計基準に基づいて会社法に定める計算書類に注記されるか、別添資料を作成してライセンサーに提出されなければならない。


他の4つの基準に対して明らかにボリューム多め。
中身の方はA等級7個とC等級1個で構成されています

  • F.01 A基準 年次財務諸表(監査済み)
  • F.02 C基準 中間財務諸表(監査済み)
  • F.03 A基準 選手移籍活動によって生じる他のフットボールクラブに対する期限経過未払金の皆無
  • F.04 A基準 従業員や社会保険当局、税務当局に対する期限経過未払金の皆無
  • F.05 A基準 ライセンス交付の決定に先立つ表明書
  • F.06 A基準 予算および予算実績、財務状況の見通し
  • F.07 A基準 ライセンス交付後の重要な後発事象の通知義務
  • F.08 A基準 財務状況の見通しの修正義務

F.02、F.04、F.06~F.08については専門性が高いので今回は省略

まずはF.03から見ていきたいのですが、交付規則の条文ではよく分かりません。
今回は運用細則の方で確認してみましょう

F.03 選手移籍活動によって生じる他のフットボールクラブに対する期限経過未払金の皆無

4.基準 F.03 に対するその他の遵守事項および注意事項
ライセンス申請者は、移籍補償金(および連帯貢献金)、トレーニング費用、トレーニングコンペンセーション等、選手移籍に関して発生する費用の支払いにつき、遺漏なく手続きを行わなければならない。なお、トレーニング費用等の支払いが免除される場合は、トラブル防止のため、その記録を書面で残すようにしなければならない。

「選手移籍活動によって生じる他のフットボールクラブに対する期限経過未払金」

つまり、移籍金やトレーニング費用などが該当するということですね。
目的にも合ったように、単純な経済状況だけが「財務基準」の範囲ではありません

F.05 ライセンス交付の決定に先立つ表明書(A等級)

(1) FIBによってライセンス交付の決定が下される期間の開始前 7日以内に、ライセンス申請者はライセンサーに対し、当該申請者がライセンス交付文書を提出した日が属する事業年度の前年度の末日以降、ライセンス申請者の財務状況に(好影響か悪影響かを問わず)影響を及ぼし得るような経済的重要性のある事象または状況が生じたか否かを表明する書式を提出しなければならない。

続いてF.05ですが、これは交付規則第25条第5項でも定められています。
同じ条文内で繰り返し指示されていることからも重要性の高さは窺えます

第 25 条〔ライセンス申請書類の審査〕

(5) ライセンス申請者は、FIBによるライセンス交付決定が下される期間の開始前 7 日以内に、CLAに対して、第 37 条の基準 F.05 に定める表明書を提出するものとする。

CL07

「ライセンス申請者の財務状況に(好影響か悪影響かを問わず)影響を及ぼし得るような経済的重要性のある事象または状況」

運用細則に細かいことは書いてありますが、長いので画像1個で処理。
要はこういった大事なことが起きたならきちんと言いなさいって規定ですね

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さて、本日最後にして最重要となるのが次のF.01です。
その文言を見る前に、Jリーグ規約に定められた財務に関する条文を先に見てみましょう

Jリーグ規約(pdf注意)
《Jリーグ公式サイト 12年8月30日閲覧》

第40条〔事業報告および決算〕

(1) この法人の事業報告および決算については、毎事業年度終了後、理事長(チェアマン)が次の書類を作成し、監事の監査を受けたうえで、理事会の承認を受けなければならない。
① 事業報告
② 事業報告の附属明細書
③ 貸借対照表
④ 損益計算書(正味財産増減計算書)
⑤ 貸借対照表および損益計算書(正味財産増減計算書)の附属明細書
⑥ 財産目録

これが、今回の規則では次のようになっています

(注記)
ちなみに、財務諸表とは基本的に「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュ・フロー計算書」、「株主資本等変動計算書」の4つを指します


F.01 年次財務諸表(監査済み)(A等級)

(1) ライセンス申請者は、AFCおよびライセンサーの指示に基づき、ライセンス申請者の有する法人格に対する国内法令に基づいた年次財務諸表一式を作成し、Jリーグに提出しなければならない。なお、当該財務諸表は監査法人または公認会計士の監査を受けたものとし、ライセンサーの求めに応じ、決算の詳細はライセンサーに開示されなければならない。

(2) ライセンス申請者は、前項の資料に基づき、ライセンスを申請した日の属するシーズンの翌シーズンのライセンス交付について審査されるものとする。

以前は監事の監査だったものが監査法人等の監査を受けることが必要になりました。
これがどれほどその財務諸表の信頼性を担保するかはわざわざ明記するまでもありません。
また、この交付規則には明記されていないのですが、「キャッシュ・フロー計算書」と「株主資本等変動計算書」の2つも必須になっているのではないかと推測されます

では、その判定基準はというと、運用細則の方に定められています

F.01 年次財務諸表(監査済み)

3.判定
(2) 提出された財務諸表に基づいて審査を行い、以下のいずれかに該当する場合は基準 F.01 を満たさないものとする。
① 3 期連続で当期純損失を計上した場合。ただし、判定は2012 年度決算より開始し、それ以前の年度は判定対象としない
② ライセンスを申請した日の属する事業年度の前年度末日現在、純資産の金額がマイナスである(債務超過である)場合。ただし判定は 2014 年度決算より開始し、それ以前の年度は判定対象としない
③ Jリーグからの指摘に基づき、過年度の決算の修正が必要となった場合において、過年度の決算を修正した結果、前 2号に示す事態となった場合

ライセンス発行がされないのは、3期連続の赤字と債務超過の場合。
3期連続赤字は2012年度決算から債務超過は2014年度決算からです。
誤解が多いようですが、2011年度決算までは関係ありません

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以上、財務基準について目立ったものをざっと見てきました

第1回でも触れましたが、F.01はこの制度の詳細が明らかになる前から注目されていました。
F.01はA等級の基準であるため、これらのどちらかになった瞬間にアウト

例えば、人事面であれば適正な人を雇えば済む話ですし、ユースや施設ならば今後の見通しを示せばある程度の情状酌量は望めるかもしれません。
しかし、決算というものはどうしようもない…だからこそこの財務基準は最重要と言えるのです

【参考】
FC岐阜に厳しい姿勢 Jリーグ、来季参加資格検討へ聴取
《岐阜新聞 12年8月30日閲覧》

ただ、どちらの事態も普通は突然なってしまうものではありません。
危機的状況になったとき、スポンサーや地域行政に頼み込むことは不可能ではないでしょう。
一時的であれば公式試合安定開催基金に頼ることも可能です

しかし、それは今現在の話

今後、JリーグやJクラブは地域社会にとって重要な立ち位置を占め続けられるか。
それは決して確定的なものではないと考えています

このライセンスはきっかけであって、いずれやらなくてはならないことだと思います。
(それが性急だったか、段階を経るべきだったかという議論は置いておくとして)


そんなわけで5つの基準が終了。
次回は今まで飛ばしてきていた細々したものを説明していく予定です

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第6回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

時間が空きましたが、前回に続いて各種基準のお話。
今回は、競技基準、人事体制・組織運営基準、法務基準の3つ。
重要度してはやや低めですね

範囲は交付規則第33条、第35条~第36条

MOKUJI

第1回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第2回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第3回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第4回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第5回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第6回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第7回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第8回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く
第9回 Jリーグクラブライセンス交付規則を読み解く

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まずは軽めな競技基準(Sporting Criteria)の話を始めましょう。
競技基準の目的は交付規則第33条第1項に定められています

第 33 条 〔競技基準〕

(1) 競技基準の目的は、以下のとおりである。
① 質の高いアカデミープログラムを構築すること
② アカデミー選手のオフ・ザ・ピッチ教育についても支援・奨励すること
③ アカデミー選手の医療ケアを充実させること
④ ピッチ内外でフェアプレーを遵守すること


競技基準と言われても?マークが浮かびますが、要はユースの充実とフェアプレーについて。
実際にどのようなものがあるかというと次の7項目

  • S.01 A等級 承認されたアカデミープログラム
  • S.02 A等級 アカデミーチーム
  • S.03 A等級 選手の医療面でのケア
  • S.04 A等級 プロ選手との書面による契約
  • S.05 A等級 レフェリングに関する事項と「競技規則」
  • S.06 C等級 人種的平等の実践
  • S.07 C等級 女子チーム

S.02は、U-18、U-15、U-12、U-10の各種チームの保有義務を規定したもの。
S.03~S.07についてはタイトル名そのままなので特に触れません

残ったS.01の見るべきポイントは次の2つ。
簡潔に言うと、ユースをしっかりしましょうという話ですね

S.01 承認されたアカデミープログラム(A等級)

(1) ライセンス申請者は、下記項目を満たした「アカデミー申請書」を提出しなければならない。
(2) ライセンス申請者は、以下のプログラムの実施により、サッカーに関する教育以外の補完的教育を行う。

競技基準についてはこれくらいでいいと思います。
ユースの基準が厳格化されたくらいで基本的に今までとあまり変わらないのではないでしょうか

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2つ目は人事体制・組織運営基準(Personnel and Administrative Criteria)。
名称がちょっと長いので、一時的に「人事基準」と呼称していきます

では、いつも通り交付規則第35条第1項の目的を見てみましょう

第 35 条 〔人事体制・組織運営基準〕

(1) 人事体制・組織運営基準の目的は、以下のとおりである。
① ライセンス申請者がプロフェッショナルな方法で運営管理されること
② ライセンス申請者が、一定のノウハウおよび経験、スキルを有するスペシャリストを有すること
③ トップチームおよびその他のチームの選手が、資格を有するコーチによるトレーニングを受け、必要な医療スタッフによりサポートされること


人事基準とは、運営スタッフ及びチームスタッフの水準向上についての基準です

何気に人事基準は項目数が全18個と5つの基準でも最大。
しかもその全てがA等級となっているため最重要のようにも見えます。
しかし、中身は当たり前のようなことを明文化しただけという印象が強いです

  • P.01 A基準 クラブ事務局
  • P.02 A基準 代表取締役
  • P.03 A基準 財務担当(ファイナンスオフィサー)
  • P.04 A基準 運営担当(オペレーションオフィサー)
  • P.05 A基準 セキュリティ担当(セキュリティオフィサー)
  • P.06 A基準 広報担当(メディアオフィサー)
  • P.07 A基準 マーケティング担当
  • P.08 A基準 医師(メディカルドクター)
  • P.09 A基準 理学療法士
  • P.10 A基準 トップチーム監督
  • P.11 A基準 トップチームのアシスタントコーチ
  • P.12 A基準 アカデミーダイレクター
  • P.13 A基準 アカデミーチーム監督
  • P.14 A基準 アカデミーチームコーチ
  • P.15 A基準 安全・警備組織:警備員
  • P.16 A基準 権利と義務
  • P.17 A基準 ライセンス申請書類提出後の変更通知義務
  • P.18 A基準 ライセンス交付シーズンにおける後任の選任義務

あまりにも多いのでいくつかピックアップという形で。

P.03 財務担当(ファイナンスオフィサー)(A等級)

ライセンス申請者は、経理・財務を担当する常勤の取締役を置き、かつ、以下のいずれかに該当する者を財務担当(ファイナンスオフィサー)として置かなければならない。

① 会計参与
ただし会計参与を財務担当とする場合は、会計参与との連絡担当となる常勤の財務担当社員を置くこと

② 常勤の経理・財務担当で、課長職以上の者で、以下のいずれかの資格を有する者
イ.公認会計士または税理士
ロ.経理・財務分野において 3 年以上の実務経験を有し、Jリーグから発行される「財務担当適正証」を有する者

今回の制度化において最重要ともいわれる「財務面」。
その管理を任されるポジションだけあって条件も相当厳しめ。
例として、運営担当(オペレーションオフィサー)と少し比較してみましょう

P.04 運営担当(オペレーションオフィサー)(A等級)

ライセンス申請者は、試合運営に関する事項について責任を有する運営担当(オペレーションオフィサー)として、以下のいずれかに該当する者を置かなければならない。
① Jリーグが特定する試合運営に関する課程に参加し、その課程を終了した者
② 最低 1 年の実務経験を有し、Jリーグから発行される「運営担当適正証」を有する者

他の担当も大体これと同じような条件になっています。
つまり、Jリーグの講習的なものを受講するか、実務経験について認証を得るか
これだけでも以前より人事面でのレベルアップは図れるはず

財務担当が他の担当よりも更に厳しくなっていることからもこの制度の趣旨が分かります

(注記)
その他では専門性の高いセキュリティ担当は資格又は実務経験+Jの認証。
ドクター・理学療法士といったメディカルスタッフは資格。
監督やコーチなどのコーチングスタッフは指導者ライセンスが必要です


P.09 理学療法士(A等級)

ライセンス申請者は、医師をサポートし、トップチームのトレーニング、試合中の医療手当およびマッサージについて責任を有するメディカルスタッフを置き、Jリーグに届け出なければならない。なお、メディカルスタッフは、医療に関わる以下のいずれかの国家資格等を保有しているものとする。
① 理学療法士
② 柔道整復師
③ あん摩マッサージ指圧師
④ はり師
⑤ きゅう師
⑥ 財団法人日本体育協会公認アスレティックトレーナー
P.12 アカデミーダイレクター(A等級)

ライセンス申請者は、以下のいずれかの条件を満たし、かつ、国内外の登録チームでの 3 年以上の指導経験がある者をアカデミーダイレクター(育成責任者)に置かなければならない。なお、当該アカデミーダイレクターはJFAに登録されていなければならず、ライセンス申請者における決裁手続きを経たうえで任命されなければならない。
① JFAの定める有効な「A 級」指導者資格またはそれに相当するとJFAが認定した指導者としての実績
② AFC「A 級」資格
③ UEFA「A 級」資格

この2つについてはこれまで規定がなかったと思われる事柄です。
アカデミーダイレクターについては2009年に出来たものらしく、こちらのコラムを参考に

【参考】
世界で活躍する選手を育てるために Jリーグアカデミーダイレクター研修に密着
《スポーツナビ 12年8月23日閲覧》

Jリーグ規約においてメディカルスタッフに関する規定があったのは次の項目

Jリーグ規約(pdf注意)
《Jリーグ公式 12年8月23日閲覧》

第47条〔届出義務〕
(1) Jクラブは、次の事項を所定の方法によりJリーグに届け出なければならない。届出事項に変更が生じた場合も同様とする。
③ 監督、コーチ、ドクターおよびアスレティックトレーナー(原則として日本体育協会公認)等(以下「チームスタッフ」という)

上記の通り、ドクターとアスレティックトレーナーについて書かれています。
しかし、今回の交付規則では、後者が理学療法士として範囲が拡大されていますね。
「等」という部分を明文化したということでしょうか

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5つの基準で唯一目的の定められていない法務基準(Legal Criteria)が最後。
法務基準であげられているのは以下の6項目です

  • L.01 A基準 AFCクラブ競技会出場への宣誓書
  • L.02 A基準 クラブの登記情報
  • L.03 A基準 他クラブの経営等への関与の禁止
  • L.04 A基準 クラブ内の懲戒手続き
  • L.05 C基準 選手と社員のための行動規範
  • L.06 C基準 顧問弁護士(リーガルオフィサー)

A基準は4項目ありますが、どれも至ってそのまんまな基準
特に説明することもないと思いますので興味があったら原文をどうぞ

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久しぶりの更新なので今一度交付規則を読み直してきました。
毎週更新で一気にこのシリーズを終わらせようと思います

ではまた次回


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二歩進んでいたのを三歩戻した日

10日の第4回旧広島市民球場跡地委員会について簡単に所感を

現地で見れなかったという方はyoutubeにアップしてくださっている方がいらっしゃいます。
実際にどのような話がされたのかは、文字媒体では知ることはできません。
百聞は一見にしかずということで是非見てみてください



RCCなどのニュースもありますのでそちらも。
また、すでに配布された資料については広島市の方にUPされています

【参考①】
球場跡地 中間まとめできず
《RCC 12年8月11日閲覧》 

【参考②】
委員会の開催状況
《広島市 12年8月11日閲覧》 

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①広島クラスタとしての所感
中国新聞の紙面にはあるものの何故かweb版にはなっていない様子。
(もしかしたら速報で流れたかもしれないけど地域ニュースにはない)

仕方ないので産経新聞より

旧市民球場跡地活用 中間まとめ持ち越し 広島
《産経新聞 12年8月12日閲覧》

 旧広島市民球場(広島市中区)の活用について話し合う市の跡地委員会(委員長・山野井秀樹広島青年会議所前理事長)の第4回会合が10日、広島市役所で開かれ、この日行う予定だった中間とりまとめを次回以降に持ち越した。
 これまでの会合では、委員や市民から出されたアイデアをもとに、活用分野を文化・芸術▽緑地広場▽スポーツ▽アミューズメントなど7分野に分類。その中から活用策を探ってきた。文化・芸術と緑地広場の2案に賛成意見が多かったが、サッカーなどのスポーツを強く推す声もあり、とりまとめを持ち越した。

第4回検討グループ会議では、「文化芸術創造機能」と「緑地広場機能」の2つが強く推されていましたが、これに「スポーツ機能」が加えられたことを評価する人が多いようです。
しかし、私はあえて別視点から評価したいなと考えています


前回触れたように、前回の検討グループ会議で問題だったのは比較衡量の基準
この委員会でも岡野議員が指摘していましたが、他の大規模未利用地の方がふさわしいということが、旧球場跡地にふさわしくないということを証明するわけではありません

広島における旧球場跡地のポジショニングを検討することは有益です。
が、いくらなんでも定義付け・コンセンサスもなしにやるなんて論外も論外


その状況に一石を投じることができたという点で評価されるべきでしょう。
この行為はここ2回の検討グループ会議でやったことを無駄にしかねません。
(時間制約と立場だけを見れば下村副座長の主張は最もではありますが)

しかし、本来の委員会の意義を考えれば価値ある「三歩下がる」だと思います


②サンフレッチェクラスタとしての所感
サンフレサポとしては「スポーツ機能」が復活したことは純粋に嬉しいです。
今月のWendyにも掲載されたように、旧球場跡地は有力な候補地。
可能性が0ではないというのは大きな事です

【参考】
Wendy広島 8月号 129号
《月刊情報紙Wendy 広島版 12年8月12日閲覧》

ただ、私自身は必ずしもこの場所にこだわってはいません

建設にあたっては土地だけでなくお金や熱意・民意、そしてタイミングが重要。
旧球場跡地がそれに恵まれるかどうかはもう少し様子見したいと思います

誤解しないで欲しいのですが、仮にこの場所が無理だったとしても無駄ではありません

「広島にはサッカースタジアムが必要なんだ」

そういう声を上げ続けることが、上げていることを認識させることが大事なんです。
それはいつの日か必ず礎になってくれるはず。そう考えています

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③まとめ的ななにか
今回の委員会に対して、実を言うと少なからず不安でした。
①でも述べたように、会議がすごい勢いで泥沼へと突き進んでいたからです。 
約5年前の会議とは違い、「素人」が集まり広島市は軌道修正しようともせず傍観

しかし、実際には複数の委員が異議を唱え会議は修正される可能性が出ています。
これは非常に嬉しい驚きでした


たしかに一部の委員からは変な指摘があったことは否定できません。
そうはいっても全体で言うと些少なレベル。
量・質ともに目くじら立てるほどの反論でもありませんでした


また、そういった意見全てに耳を閉ざす必要はないでしょう

例えば、観光客がサッカーを見るのかという指摘。
サッカーのために観光する人でなければどれだけ見るのかというと返答につまります。
平和公園との対比、アクセス性などをもってこれに論理的に反論したい

「できねーだろ!」という批判に「できるよ!」と言い返せるように

インターネット、SNSなどのツールの発展はめざましい。
それらを最大限活用して今後もみんなで意識共有していきたいですね


次回はしばらく休憩して、再びクラブライセンス制度に戻る予定です

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第4回旧広島市民球場跡地委員会(8月10日)のためにおさらいしておきましょう 後編

全3回となるこのシリーズは今回で最後。
4日の試合や6日の平和式典を鑑みてこんな強行スケジュールとなってしまいました。
読みにくかったら非常に申し訳ないです

いずれ時間のあるときに、もうちょっと綺麗に分かりやすくまとめたいと思います

前々回前回とこれまでの流れを辿ってきました。
では、最終回となる今回は実際に今広島市がやってることを見ていきましょう

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⑧旧広島市民球場跡地委員会と検討グループ会議ってなによ
旧広島市民球場跡地委員会(以下「委員会」ともいう)とか検討グループ会議とか…。
そういう字面だけでは何がなにやらという感じ

そういうときはみんな大好き(?)条文を見ていきましょう

旧広島市民球場跡地委員会設置要綱pdf注意
《広島市 12年8月8日閲覧》

(設置)
第1条 旧広島市民球場跡地について、「若者を中心としたにぎわいのための場」にしていくという方向性の下、活用方策を検討するため、各界各層から意見を聴く旧広島市民球場跡地委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

(所掌事務)
第2条 委員会は、次に掲げる事項について議論する。
⑴ 旧広島市民球場跡地の活用方策に関すること。
⑵ 旧広島市民球場跡地周辺の回遊性向上策に関すること。
⑶ その他前条の目的を達成するために必要な事項に関すること。

(検討グループ)
第6条 委員会は、必要があると認めるときは、委員会の中に検討グループを設置することができる。
2 検討グループのメンバーは、委員長が委員の中から選任する。

なるほどわからん

この第6条をもとに、第2回の委員会で設置されたのが検討グループ会議です。
つまり、親組織が委員会で、子組織が検討グループ会議という感じ

その関係から全体を把握することにしましょう

atochi_shiryou04

画像にするまでもないものですが、直観的にしてみました。
このように、検討グループ会議である程度議論し、その内容を親組織である委員会に持ち帰って議論をするという二層構造になっています

つまり、8月10日に開催される第4回委員会は第3回と第4回の検討グループ会議の内容を踏まえたものになるわけです

どんなテーマでやってるかというと、第3回検討グループ会議の資料が分かりやすい

Ashiryou02

こんな風に3段階に分けてやってるんですね。
なんか「段階」って単語がゲシュタルト崩壊してきたけど


⑨第3回旧広島市民球場跡地委員会までで議論されたこと
今回は時間が無いので、まずは第3回委員会まででやったことをダイジェストで

◆第1回旧広島市民球場跡地委員会
基本的には各委員の自己紹介と、この委員会の進め方について。
その中で注目すべきは杉山旧市民球場跡地担当課長(当時)の発言

第1回旧広島市民球場跡地委員会 議事要旨pdf注意
《広島市 12年8月8日閲覧》

杉山旧市民球場跡地担当課長(発言一部抜粋)
 3 点目、この委員会のまとめの話であるが、副委員長が言ったように最終的な決定は市の方でと思っている。この委員会では一本にまとめるということではなく、多様な意見があると思うし、いろいろ、よいところや悪いところなど御意見をお寄せいただき、そういった意見を踏まえて最終的には市が決めると、決定するということを予定している。

杉山旧市民球場跡地担当課長(発言一部抜粋)
 直接的な答えにはなっていないかもしれないが、球場跡地の周辺にある施設として、青少年センターやこども文化科学館といった施設がある。いずれの施設も老朽化が進んでおり、建替時期がいつかは来る。青少年センターにいたっては、建替時期が到来している状況にある。そういった意味では、この建物を必ず残さなければならないということは我々も思っていない。必ずこうでないとならないというものについて私どもは今、ある意味白紙状態であり、現地で建て替えること、移転させること、あるいは集約すること、更地にすること、いろんな御意見があろうかと思うが、そういったことも含めて御議論いただければと思う。

要するに、全面的に白紙であるそうで。それがいいことか悪いことかはさておき。
あと、この委員会で決まったことは最終決定稿じゃないそうです

◆第2回旧広島市民球場跡地委員会
前回の自己紹介の時に出されたアイディアに追加して各人のアイディア披露会。
あとは検討グループ設置が承認されたくらいです

アイディアに個別に触れる余裕はないので、興味のある人は広島市のHPへGO!

【参考】
委員会の開催状況
《広島市 12年8月8日閲覧》

◆第1回検討グループ会議
これまでで最も議論が活発だった会議…だと思います

球場跡地の活用のテーマとなる考え方、理念についてまず意見交換。
テーマは以下の通り

  1. 広島の都市像「国際平和文化都市」との関連
  2. 球場跡地は過去を振り返る場なのか、これからの未来を志向する場なのか
  3. 経済活動を優先すべきか、非経済活動を優先すべきか
  4. 将来の社会環境の変化にどう対応するのか

続いて跡地活用の方向性についての議論を以下のテーマで

  1. 集客の対象
  2. 都市機能の分担
  3. 回遊性の向上

多少ぼんやりとした内容でしたが、実りあるものだったように見えました

◆第2回検討グループ会議
評価の視点の整理をしようという趣旨。
テーマとなる考え方、理念と加味すべき視点の位置づけで若干紛糾。
最終的に「広島らしさ」が重要であるということでその議論をして終了

詳細な話になるとなかなか相容れない主張があるようで

◆第3回旧広島市民球場跡地委員会
検討グループ会議に委員会メンバーが全員参加している訳ではありません。
そのため、第1回・第2回検討グループ会議でやったことの説明からスタート

その結果、「広島らしさ」を初めとした言葉の定義に終始する形に。
この言葉が大変印象的でした

第3回旧広島市民球場跡地委員会 議事要旨pdf注意
《広島市 12年8月8日閲覧》

西田委員(発言一部抜粋)
 検討グループ会議の資料を時間がある限り読ませていただいたが、実は読むごとに何をどうすればいいのか分からなくなった。

ここまで何をやってきたかというと、主に意見交換でしょうか。
旧広島市民球場跡地をどのような視点で見るかという大枠は出ていたように思います。
一方で個々人の意見には隔たりがあるのかなという印象を受けました

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⑩第3回検討グループ会議と第4回検討グループ会議
こんなサブタイトルを付けておきながら第3回検討グループ会議はあまり中身がありません。
というのも、第3回委員会と第4回検討グループ会議の繋ぎ的話がメインだったから。
主に評価基準の話と制約条件の話、そして一部委員から提案があったくらいです

ただ、「マスコミの方や議会などからスピード感がないという批判」(下村副座長)を受けて次のような意見が出たのですが、この提案によって大きく会議の方向性が変わります

第3回検討グループ会議 議事要旨pdf注意
《広島市 12年8月8日》

荒神原旧市民球場跡地担当課長(発言一部抜粋)
棚多委員の言われたことを私なりに斟酌すると、市内の大規模未利用地は他にもあるため、そちらに持っていった方がよりふさわしい機能があるのではないか、そういった機能をそちらに持っていくことができるのであれば、旧市民球場跡地での選択肢が少しでも狭まることになり、その方が議論のスピード感のアップを考えるときにもよいのではないかといった提案だったと理解している。 

それまでになかった他の大規模未利用地という視点。
広島市全体を見て、旧広島市民球場跡地の分担すべき機能を考えるというもの。
第4回検討グループ会議ではこの考え方を中心に提案の評価を行う方向で固まりました

Ashiryou03

その他、第4回検討グループ会議では2人の委員からの提案。
そして、各委員が機能分担について意見を出し合って終わりました

第4回旧広島市民球場跡地委員会では、第3回・第4回の検討グループ会議の内容をもとに「中間とりまとめ」のたたき台を提示するという話になっています。
第2段階の終盤という位置づけでいいのではないでしょうか


余談。
こちらの内容については、実際に傍聴していないので参考までにということにしておきます。
ただ、「旧広島市民球場跡地でなくともよい」という指摘はまぁいいとしても、景観であったりナンセンスな否定的意見があったことは事実でしょう(というか議事要旨に載ってる)

【参考】
平成24年7月11日第4回旧広島市民球場跡地委員会検討グループ会議
《Togetter 12年8月8日閲覧》

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⑪おわりに ~10日の委員会を傍聴するに当たって気をつけたいこと~
全3回にわたって「旧球場問題」と現在の旧球場跡地利用計画を追ってきました。
旧球場跡地に関する論議が始まってもう何年にもなりますが、未だに何も決まっていません

私個人としては広島市のリーダーシップのなさが最大の原因ではないかと考えています

たしかに、市民の意見を広く聞きたいという趣旨は分かります。
しかし、当初から手探り状態で会議を進めているという様子が窺え、その様子は2005年~2007年に開かれた2つの会議の議事録から受けた印象と同様のものです。

そのせいとは言いませんが、第3回・第4回検討グループ会議によって広島市のグランドデザインまで委員会で議論する方向に進み始めたのには正直驚きを隠せません。
ポジショニングを語ることは決して悪いことではありませんが…。
委員会の趣旨を考えればありえないことで、迷走していると言わざるを得ないでしょう

時間の制約や周囲の批判があるのは分かりますが、今一度この会議がある意味、この会議ですべきことを見直すべきなのではないでしょうか


しかし、一方であまり攻撃的すぎるというのには反対

広島にとって何が最も良いのか、どうすれば広島はもっと良くなるのか。
全員とは言いませんが、少なくとも真剣に考えていらっしゃる方はいらっしゃいます。
それは議事要旨を読むだけでも十分伝わってきました

自分と違う立場の人の発言全てが全て非難するのではなく、明らかにナンセンスな部分・勘違いしている部分を批判するようなスタンスが求められるのではないでしょうか


旧広島市民球場跡地は広島の中心地であるとともにIdentityの中心でもあると思います。
いろんな想いが出てくるかもしれませんが、まずは、話を聞いてみませんか?

虚心坦懐

という四字熟語で今回の企画は〆たいと思います。
長々とお付き合いいただき本当にありがとうございました


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第4回旧広島市民球場跡地委員会(8月10日)のためにおさらいしておきましょう 中編

前回に引き続いて今回は「旧球場問題」の流れの後半。
「旧球場問題」とは直接的な関係はありませんが、世間でも動きがありましたね

サッカースタジアム建設要望
《中国新聞 12年8月7日閲覧》

 広島県サッカー協会、J1サンフレッチェ広島と同後援会が2日、サッカー専用スタジアムの建設を求める要望書を、広島県と広島市に提出した。ロンドン五輪で男女代表が活躍し、J1でも広島が18年ぶりに首位に立つ。高まったサッカー熱を追い風に、夢の実現へ動きだした。
 県協会の小城得達会長、サンフレの本谷祐一社長、後援会の加藤義明会長らが湯崎英彦県知事と松井一実市長に面会。それぞれに要望書を手渡した。
 要望書は、本拠地の広島ビッグアーチ(広島市安佐南区)は交通の便が悪く、陸上競技用トラックが併設され臨場感がないと指摘。集客力や経済効果を高めるため、市中心部での建設を求めている。収容能力を2万5千~4万人、客席部分を屋根で覆うなど、より具体性を持たせた。
 松井市長は「民の支えがあり、機が熟せばという思いはある。みんなで検討を始めようという合図と受け止めたい」とコメント。小城会長は「クリアすべき課題もあるが、前向きな感触を得た。財界やスポーツ界の力も借りながら、進めていきたい」と話した。

もしかすると「旧球場問題」にも少なくない影響があるかもしれません。
それはまた逆もしかり。注目していきたいと思います 

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⑤旧球場解体決定と市長交代による空白期間(2010年7月~2011年8月)
前回の最後でも触れた球場廃止条例の可決以後も市民活動は多数ありました。
しかし、その甲斐無く2010年10月には第1期解体工事が実施されます

2011年4月には市長選挙があり、トップが代わったものの、2011年7月からの第2期解体工事により、2012年2月29日に旧広島市民球場の解体が終了しました

年表で見ておきましょう

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(注記)
旧広島市民球場の歴史と未来を守る会が行っている活動は一部のみ記載しています。
2009年8月23日に旧広島市民球場解体工事差し止め請求を実施。
精力的に活動していますが、それらの正確な日付を全て追うのが現時点で困難なためです。
一応、2つのサイトを紹介しておきます。

【参考①】
住民投票について : 旧広島市民球場の歴史と未来を守る会
《旧広島市民球場の歴史と未来を守る会 12年8月7日閲覧》

【参考②】
母谷たつのりウェブサイト
《母谷たつのりウェブサイト 12年8月7日閲覧》


⑥新市長の下での跡地利用計画(2011年9月~現在)
松井市長に交代して、跡地利用計画の見直しを示したものの暫くは具体的な行動はなし。
実際に事業が再開されたのは2011年秋からでした

具体的には3種類の会議が開催されています

atochi-rekishi_04

最後の年表はこちら。
会議の開催した日付だけなので少々味気ないですが 

ちなみに緑色の文字になっている部分が、今回扱っていく会議になります

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⑦今なにをやっているのか
ここまで、「旧球場問題」の流れについておさらいしてきました。
漸くではありますが、「今」の話に移りましょう

現在なにをやっているのかというとこんな感じです

旧市民球場跡地の活用について
《広島市 12年8月7日閲覧》

1 事業の目的
旧広島市民球場跡地を含む紙屋町・八丁堀地区は、広島駅周辺地区とともに、本市の活性化を図る上で重要な地区であり、より一層魅力を高めていく必要があります。旧市民球場跡地については、従前の利用計画を見直して、これまで以上に都心のにぎわいの場となるよう、市民等から広く意見を聴き、平成24年度末までに活用方策を策定します。

2 事業の概要
(1)「旧広島市民球場跡地委員会」の運営
ア 市民各界各層で構成する委員会(委員22名)において、「若者(注1)を中心としたにぎわいのための場」にしていくという方向性のもと、長期的な視点とまちづくりの視点(注2)から議論を進めます。
イ 委員会の下部組織として設置した検討グループ(メンバー12名)において議論を深めます。

(中略)

(2)「旧広島市民球場跡地及び周辺地区のあり方庁内検討会議」の運営
関係16課等で構成する庁内検討会議において、中央公園内の既存施設の有効活用や周辺地区を含めた回遊性の向上策などについて検討を進めます。

(3)球場解体後の整地等
解体後の敷地を公園として利用できるよう、整地や雨水施設の設置など、必要最低限の原状回復を行います。

要するに次の3つを通して2012年度末までに活用方策を策定するというもの

  • (1)「旧広島市民球場跡地委員会」の運営
  • (2)「旧広島市民球場跡地及び周辺地区のあり方庁内検討会議」の運営
  • (3)球場解体後の整地等

(3)については特に説明もいらないですね。
次回=最終回は(1)について簡単に見ていくことにしましょう


じゃあ(2)の旧広島市民球場跡地及び周辺地区のあり方庁内検討会議ってなによ?
という話だけ、最後にちょろっと紹介して今回は終わりにしたいと思います

第1回検討グループで配られた資料によると次の通り

3 旧広島市民球場跡地委員会との関係(pdf注意)
《広島市 12年8月7日閲覧》

旧市民球場跡地の活用については、市民各界各層で構成する「旧広島市民球場跡地委員会」で議論していただき、その議論を踏まえて市として活用方策を策定することにしています。
庁内検討会議は、中央公園内の既存施設を主な対象に、各施設の有効活用や周辺地区を含んだ回遊性向上について検討するもので、旧市民球場跡地の活用そのものについて検討する場ではありません。
庁内検討会議で検討した既存施設の課題や整備方針などの結果については、今後、跡地委員会に資料として提供し、委員会での議論の材料にしていきたいと考えています。

細かい内容は公開されていないので触れませんが勉強会のようなものでしょうか。
あまり関係なさそうですし、何より議事録が公開されていないので今回はスルー

では、明日で最後となります。
引き続きお付き合いくだされば

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第4回旧広島市民球場跡地委員会(8月10日)のためにおさらいしておきましょう 前編

旧広島市民球場の跡地利用問題といえばサンフレクラスタのみならず広島市民にとっても、関心の高い話題なのではないでしょうか。
つい先日も、この検討グループ会議における話でTL上も盛り上がっていました

【参考】
【小ネタ】カピタン閣下は市民球場跡地に関する中国新聞の報道にお怒りのようです
《ドメサカ板まとめブログ 12年8月6日閲覧》

そして、今月の10日に第4回旧広島市民球場跡地委員会が開催されるとか。
それに先だってこれまでのことを簡単に復習しておきましょう…というのが今回の趣旨

「簡単」とか言いながら書いてたらすごい量になった…。
3日連続更新となる上すごい分量ですが、お付き合いくだされば

以前、他のサイトなどでもまとめられていますが、更新版ということで

【参考①】
別紙5 旧市民球場跡地の活用に関するこれまでの検討経緯(pdf注意)
《第1回旧広島市民球場跡地委員会 資料 2012年8月6日閲覧》

【参考②】
よく分かる市民球場のこれまでの流れ
《旧市民球場の在り方を問う 2012年8月6日閲覧》

【参考③】
旧市民球場問題の今まで
《(旧)広島市民球場フォーラム2012年8月6日閲覧》

できる限りフラットな目線で起こった事実をまとめるよう努めました。
参考にした資料と個人的感想(余白があれば)は翌々日更新の3つ目の記事にて 
(追記)翌日の2個目の記事の追記に書いておきます

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①「旧広島市民球場跡地利用問題」とは
「旧広島市民球場跡地利用問題」(以下「旧球場問題」という)ってそもそも何よ?
そんな方のために簡単に説明しておきましょう


「旧球場問題」とは、広島市における跡地利用問題の一つ。
広島には大規模未利用地なるものが結構沢山あったりするのです

その一つが旧広島市民球場跡地であり、広島大学跡地や二葉の里地区であったり。
以前までは現球場のあるヤード跡地もその一つでした。
これだけの大きな土地を遊ばせておく訳にはいかない…それが跡地利用というもの

(注記)
第3回検討グループに大規模未利用地のいい資料があったので追記
資料2 広島市中心部に位置する主な大規模未利用地の状況より

Ashiryou01

その土地を如何に有効に使うか、というのは広島の都市開発にとっては一大事業。
だからこそ「あーでもない」「こーでもない」と議論が重ねられ、時間がかかりすぎて未だになかなか決まらないという問題が出てきてしまっているのです

また、跡地利用に関わることが出来れば大きな便益を享受することも可能になります。
たとえば商店街付近の跡地にショッピングセンターが出来てしまったら生活に関わります。
逆に宿泊施設を経営しているときに大規模集客施設ができれば経営に大きくプラス。
利害関係者の問題も利用計画の障害になりがちです

広島における跡地利用計画はこのような理由からなかなかうまくいっていません


旧広島市民球場は2008年を最後にその機能を現球場へと移転しました。
その跡地をどうするか…それが「旧球場問題」ということですね 

参考までにこんな動画を(2009年のニュースです


さて、この歴史を紐解くにあたって、全体を大きく5つに区切りたいと思います

  • 第1期:市民球場、ヤード跡地への移転が決定(1996年頃~2005年10月)
  • 第2期:提案募集から広島市・商議所の計画発表まで(2005年11月~2009年1月)
  • 第3期:計画への反発と解体条例(2009年2月~2010年6月)
  • 第4期:解体決定と市長交代による空白期間(2010年7月~2011年8月)
  • 第5期:新市長の下での跡地利用計画(2011年9月~現在)

大体こんな感じ。
実際に5つに分かれているわけではなく説明のための便宜上のものです

今回はこのうち第1期から第3期を駆け足で見ていきましょう

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②市民球場、ヤード跡地への移転が決定(1996年頃~2005年10月)
「旧球場問題」を語るためには現球場建設の問題に少なからず触れなければなりません

しかし、時間もスペースも無いし、メイン論点でもないので今回はダイジェスト。
もうちょっと細かい話はまた後日にでも書きたいと思います

  1. 球場の建て替え議論が持ち上がる
  2. ヤード跡地にオープン球場を建設することが濃厚に
  3. 建設団体が途中で撤退したため計画は白紙に
  4. 主要経済4団体が検討組織を発足させ、県・市に建設を要請
  5. 旧球場跡地に建て替え案が濃厚に
  6. 一転してヤード跡地に新設へ

大ざっぱに現球場建設となった経緯はこんな感じ。超大ざっぱっぱ

とにかく、こんな感じで2005年頃からヤード跡地での新設が濃厚となり、球場跡地をどのように活用するかという議論が本格化していきました 


③提案募集から広島市・商議所の計画発表まで(2005年11月~2009年1月)
2005年11月に広島市が行った提案募集。
これが跡地利用計画のスタートと言えるのかもしれません

この提案募集を踏まえて広島市民球場跡地利用検討会議、そして広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会が開かれ、優秀案が2つ選定されました。
この2つの会議は俗にいう有識者会議ってやつ

年表にするとこんな感じになります

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最優秀案1つに絞れない事態に困ってしまった広島市

そこで颯爽と登場したのが、当時の商工会議所会頭の太田氏。
2008年2月に秋葉市長(当時)と会談すると9月に公表されたたたき台を強く支援しました。
商議所ビルの移転や菓子博の招致など精力的に活動します

その結果、地元商店街の一部や市民グループなどから反発がありましたが、なんとか2009年1月に計画案を策定することが出来ました


この間、意見・提案募集が2回行われています。
最初の募集では観光交流・アミューズメント機能がトップ
2回目の募集ではスポーツ機能が1番多かったことは覚えていいと思います。


④計画への反発と解体条例(2009年2月~2010年6月)
なんとか跡地利用計画を策定できた広島市でしたが次の難題は周囲の反発。
地元商店街の一部や市民グループ、市議会でもなかなか同意を得られません

賑わいがないなら作ればいいじゃない!
そんなわけで「賑わいづくり研究会」を作ってみたりしますが、イベント特区を提案されてしまうなど思うように計画が進みません

その時期の流れが次の年表。下線青字は主な反対活動の強調です

atochi-rekishi_02

ご存じの通り、最終的に2010年6月の市議会で球場廃止条例は可決されました。
しかし、計画発表から実に1年半もの時間がかかっており、2008年中に計画を策定、2009年3月に閉鎖だった予定を考えると反発の根強さが窺えます

(注記)
補足ですが、この頃の市民活動は非常に活発だったので独断でピックアップしています。
普通に抜けている可能性もありますが、悪しからず


そして、球場廃止条例の可決により次のフェーズへと移っていくことになります


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