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観戦者調査

第9回サポカン ~観客動員とリピーターの話~

2012年中断期の第9回サポカンについて前回同様軽く見ておこうというのが今回。
約2ヶ月遅れということで、既に要点抽出型の記事は他のブログでやっておられるでしょう

また、先日の記事でライセンス制度について少しだけ触れました。
今回は別のことをピックアップしています

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①近年の観客動員数推移
第9回サポカンは中断期の7月末日に開催されました。
これは第7回サポカン(2011年1月開催)での要望を受けてのものです

中断期ということで、議事録を読む限りではいつもほど濃い中身とは言えません。
主なものはクラブライセンス制度対応の話、減資→増資の話、補強の話くらいでしょうか。
そんなわけで(?)今回は次のことに注目してみました

4)観客動員について : サポーターズ・カンファレンス議事録
《サンフレッチェ広島公式 2012年10月12日閲覧》

【今シーズンの入場者数について】
 リーグ戦10試合、カップ戦3試合あわせて、ホーム13試合終了時点での入場者数が17万3342名です。
 1試合平均で1万3334名。リーグ戦ホーム10試合に限ると、入場者総数が14万9563人。1試合平均が1万4956人、約1万5000名にご来場いただいています。昨年の平均がリーグ戦で1万3203人。昨年と比較し、1試合あたり1753名多くご来場頂いており、前年比113%となっています。
 シーズンパスをご購入頂いている件数は、シーズンパス、ハーフパス合わせて約3500名です。

前年比113%というのはなかなかの数字。
しかも、F東京戦、仙台戦と夏場の2万超の試合はここに含まれていません。
そこで、第28節時点の観客動員と前年までのものをグラフにしてみました

観客動員2012A

見ていただければ分かるように、現時点での平均観客数はここ10年で最高
すでに昨年の総観客数は超えています。素晴らしい

ただし、直近2年間はあまり参考にならないので動員が減少傾向というわけではありません

2009年にJ1復帰を果たした直後にリーグ戦で4位に滑り込み、ACL出場権をゲット。
そのため、2010年は2月からシーズンが始まるという厳しいスケジュールでした。
下の表は年間スケジュールのうち、ACLの影響と予想される観客減要因の比較です

観客動員2012B

なんだ、平日の試合がたった2試合増えただけかと勘違いしてはいけません。
全17試合で考えれば全体の約12%。決して小さい数字とは言えないのです。
実際に2010年の3試合における観客数は24,781人。平均を押し下げる要因となっています

また、2011年シーズンは3月11日の東日本大震災がありました。
そのため日程変更があり、アウェイ客も例年ほど見込めなかったのではないかと予想できます

そんなわけで、ある程度の上下はそこまで気にしすぎることはありません。
(もっというと、2003年及び2008年にもJ2に所属していたわけですし)
もちろん今年の動員が素晴らしいことに変わりはありませんが


②観戦頻度分布
ここで終わって、「へーそう」と言われるだけでも良いのですがもう少し。
折角なのでJリーグが公開している観戦者調査 サマリーレポートと比較してみましょう

以下のグラフは、観戦者調査 サマリーレポートの中の観戦頻度分布を年比較したもの。
(完全頻度が0回というのはよく分からないので質問用紙を見てみたいところ)

観客動員2012C

これだけを比較しても分かることはあまりありません。
例えば、15回以上観戦する人が増えたとして、それはどういうことを意味するでしょうか?
ポジティブに見れば、観客がより多く観戦に来ていると考えられます。
逆に見ると、何度でも来るサポーターしか来ない事態なのかもしれません

というわけで観客数との対比を見るために次のグラフを用意しました

観客動員2012D

(注記)
一見観客とは、そのシーズンで0-1回観戦した観戦客のこと。
リピーターとは、そのシーズンで複数回観戦した観戦客のこと。
通常使う意味での"リピーター"とは若干異なるので注意


こうして見てみると、いくつか推測できることもあります。
例えば、2007年の"一見観客"割合の増加要因は残留争いによる"リピーター"減だとか。
2009年は成績が良く、繰り返し見に来た人が多かったから"一見観客"が少なかったとか

シーズンの成績には左右されていそうですが、確実に"リピーター"は増えている様子。
一方で"一見観客"が頭打ちなのは観戦環境の影響もあるのでしょうか


③平均観戦頻度
ついでに観戦者調査 サマリーレポートでもう1つ見てみましょう。
今度は平均観戦頻度というものを使ってみます

観客動員2012E

先ほどの観戦頻度分布における平均値がこの折れ線グラフです。
明らかに2003年と2008年の平均リピート回数が高いのは、降格争いに伴って15回以上観戦した人たちの割合が相対的に上昇したことによるものだと推測されます

そして、緑の棒グラフは"実際観客者数"の推移。
これは、総観客数を平均観戦頻度で除した数字です。
要するに実際何人が1年間でBAを訪れているのかという計算ですね

2004年~2007年は8回前後で推移しており、ここ2010年~2011年は10前後。
一方でJ1シーズンの"実際観客者数"は大体2万5千人前後で推移しているようです
つまり、"リピーター"が増えていることが近年の観客数増に貢献していると言えるでしょう

同時に"実際観客者数"があまり増えていないことは気がかりですね


④まとめ
今回やってみたのは観客動員数をいろんな角度で切ってみるという思考実験。
こんな一面的な見方だけで分析するのは、あくまでお遊びのようなものです。
こういう見方も出来るんじゃないか、という程度のお話

ただ、クラブとしては意識しなくてはならない点でもあります。
今後観客動員を増やしていくためには次のような努力が必要です

観客動員2012F

これは当たり前のことではありすが、それぞれアプローチは異なります

Aにおいて必要なのはもう一度来てみたいと思わせること。
それは、観戦環境でありホスピタリティであり、そして試合の面白さです

Bにおいて必要なのはAと近いものがありますが、特にネガティブなイメージを与えないこと。
駐車場やトイレの混雑は良い印象を持てませんし、雨に濡れるのを喜ぶ人も少ないでしょう。
そういう意味での観戦環境の向上が求められるわけ

Cにおいて必要なのは何はともかく広報・周知活動。
そしてスタジアムに行くのが億劫だと思わせないことです

今回はあくまでも観客動員を見るのがテーマでしたのでこの辺で。
いずれそれぞれについて見ていきたいと思っています

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⑤おまけ=サンフレッチェ広島のお得意様
2002年からの観客動員をまとめていて面白かったのでおまけにしてみました。
ちなみに、現時点における今シーズン最多観客数は開幕の対浦和戦29,603人です

観客動員2012G
(追記訂正)間違っていた部分を訂正しました

浦和レッズ様いつもご利用頂き、真にありがとうございます。
今後ともご贔屓いただけますようよろしくお願いします。
お代は毎年勝ち点6で結構です

awayisumawayisum  at 09:00コメント(4)トラックバック(0) この記事をクリップ!