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J1 1st第11節における岩下敬輔(G大阪)の行為について 後編

前回の続き。
今回は条文のオンパレードです



③「試合中に審判員が確認できなかった極めて悪質な行為」
前回、岩下敬輔の行為は「乱暴な行為」に該当し、退場処分が適当であると述べました。
しかし、審判員の確認できない位置で起こったためその処分が出来なかったようです

こうなってしまうと私たちは泣き寝入りするしかないのでしょうか。
…という風に書けばお分かりの通り、そうはなりません

それが「試合中に審判員が確認できなかった極めて悪質な行為」というチェックシステム

極めて悪質なプレーには試合後罰則適用も
《ニッカンスポーツ 2015年5月13日閲覧》

Jリーグは15日の理事会で、試合中に審判が見過ごした「極めて悪質なプレー」について、試合後でも映像で確認できた場合には処分を科すと決めた。26日のリーグ戦から実施する。各クラブからのクレームなどを扱うJリーグ対応セクションが調査し、審判委員会での審議を経て、規律委員会で処分を決める。今後、試合中に警告や退場処分を受けなかった選手が後日、出場停止などを科される事例が出てきそうだ。
 
羽生事務局長は「公式記録には残らない悪質なプレーが対象。選手による試合中の暴力行為を撲滅するためのJリーグ独自の取り組み」と説明。必要な場合は、テレビの中継映像や各クラブが独自に撮影したスカウティング用の映像などを分析するという。

[2009年9月16日7時3分 紙面から] 

この「試合中に審判員が確認できなかった極めて悪質な行為」は過去に事例があります。


こうしてみると年に1度くらいのペースで発生・適用されてるようですね。
J'sGoalのアーカイブが残っていればもう少し詳しく調べることが出来たのですが…

なお、松下裕樹だけソースが微妙ですがJFAにも記録があるので間違いないようです。
2009年9月26日導入したのなら不名誉な第一号は松下裕樹だったのでは…


さて、今回のケースも「試合中に審判員が確認できなかった極めて悪質な行為」に該当するのではないかと考えられるわけです

過去の事例でも各選手が出場停止になっており、今回もそうなるものだと思っていました

しかし、ガンバ大阪のプレスリリースではそうなっていません

《ガンバ大阪公式HP 2015年5月13日閲覧》
 
本日、岩下選手は、公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)規律委員会から直接、事情聴取を経て厳重注意を受けました。この処分をクラブ・本人ともに真摯に受け止め、クラブとしてもチーム規律に基づき厳重注意を行うとともに、フェアプレーの徹底に取り組むべく、チーム全体に対して再発防止に向けた指導・教育を行ってまいります。 

なぜ出場停止でないのか分からないので「Jリーグ規律委員会」とやらを調べてみました


④Jリーグ規律委員会とJFA懲罰規程

あまり耳にすることのない「Jリーグ規律委員会」とは一体どんな組織なのか。
Jリーグ規約等に規定されている部分を抜粋してみました

Jリーグ規約
《Jリーグ規約・規程集2015 14ページ、35ページ》

第8条〔専門委員会〕
(1) チェアマンの下に次の専門委員会を置き、チェアマンがこれを直轄する。
① 規律委員会

第67条〔規律委員会による処分〕
次の各号のいずれかに該当する者に対する処分は、協会が定めるJFA懲罰基準に基づき規律委員会において審議決定する

① 退場を命じられた者
② 警告を受けた者
③ 前2号に相当する不正な行為を行った者 
《Jリーグ規約・規程集2015 82ページ》
 
1.規律委員会
① ピッチおよびその周辺部分ならびにスタジアムにおける懲罰事由の調査および処分の決定
② 競技および競技会における、Jリーグに対する社会一般の評価を悪化させるおそれのある事項の防止に関する検討・立案
③ スポーツマンシップおよび秩序維持に関する事項の検討・立案
④ その他規律および懲罰に関する事項の検討・立案

端的に言うと「Jリーグ規律委員会」とは規律と懲罰を司る部署。
ただ、そのメンバーなど細かい点についてはほとんど分かりません。
唯一、委員長が元古河の石井茂巳氏であることがJFA公式HPで分かるくらいですね


さて、Jリーグ規律委員会による処分は上記の通りJFA懲罰基準に基づくとあります。
JFA懲罰基準とは、JFAの懲罰規程を指すものと考えられます

懲罰規程
《懲罰規程 89ページ》

第1条〔目  的〕 
本規程は、公益財団法人日本サッカー協会(以下、「本協会」という)の基本規程(以下、「基本規程」という)第2章第5節〔司法機関〕及び第12章〔懲罰〕に基づき、以下の各号について定める。
 
(1) 本協会の規律委員会及び裁定委員会並びに基本規程第202条に基づき本協会の規律委員会及び裁定委員会から懲罰権を委任された都道府県サッカー協会、地域サッカー協会、各種連盟及びJリーグ(以下、「都道府県協会等」という)の規律委員会における懲罰に関する事項

(2) 本協会の不服申立委員会における不服申立に関する事項

このJFA懲罰規程から岩下敬輔の行為を考えると次の項目に該当する可能性があります

〔別紙1〕競技及び競技会における懲罰基準
《懲罰規程 102~103ページ》

2.退場
以下の2-1(1)から(10)号又は2-2から2-7のいずれかに該当する場合には、主審は退場を命じ、かつ規律委員会は、各項①号以下の定めにより懲罰を科す。
 
2-1.以下のいずれかに該当する場合
(1)著しい反則行為
(2)きわめて危険な行為
(3)乱暴な行為
(4)主審、副審の判定に対する執拗な抗議
(5)他の競技者、その他の競技に立ち会っている人々に対する侮辱
(6)警告を与えられた後、さらに不正な行為を繰り返す
(7)きわめて反スポーツ的な行為
(8)策略的な行為を繰り返す(1-1.(7)号参照)
(9)主審に無断で抗議のためにフィールドを離れる行為
(10)その他、きわめてスポーツマンらしくない行為(1-1.(9)号参照)
 
①1回目の場合:最低1試合の出場停止
②繰り返した場合(内容は同一でなくてもよい):最低2試合の出場停止及び罰金
 
2-2.選手等に対する暴行・脅迫及び一般大衆に対する挑発行為
 
①1回目の場合:最低2試合の出場停止及び罰金
②繰り返した場合:最低4試合の出場停止及び罰金

前回説明したとおり、岩下敬輔の行為が「乱暴な行為」に該当すると考えられます。
であれば、競技規則との読み替えから2-1(3)乱暴な行為又は2-2選手等に対する暴行・脅迫及び一般大衆に対する挑発行為に該当すると考えるのが妥当でしょう

前者であれば出場停止1試合、後者であれば2試合です(繰り返しの定義は置いておきます)

しかし、実際は厳重注意止まり。
岩下敬輔の行為は懲罰の対象にならなかったのでしょうか?


⑤無理矢理読み解く「岩下敬輔が厳重注意で済んだ訳」
岩下敬輔がなぜ出場停止ではなく厳重注意で済んだのか。
行為から考えても全く分からないため、結果から逆に辿ってみることにしましょう


まず、推論のスタートとなる事実。
それは岩下敬輔はJリーグ規律委員会から事情聴取を受け厳重注意を受けたということ

Jリーグ規律委員会が事情聴取したということはJFA懲罰規程に基づいた業務のはず。
というのも、Jリーグ規約では選手に対する事情聴取について定めていないようなので。
選手の権益侵害に当たると考えられますので、規定されていないことはない…はず…。

《懲罰規程 94ページ》

第20条〔聴  聞〕
規律委員会及び裁定委員会は、原則として当事者に対し事情聴取を行い、その意見を聞くものとする。ただし、当事者の同意がある場合又は対象者が事情聴取を拒否若しくは無断欠席した場合はこの限りではない。 

つまり、岩下敬輔はJリーグ規約第67条の対象だったと考えられます

《Jリーグ規約・規程集2015 35ページ》
 
第67条〔規律委員会による処分〕
次の各号のいずれかに該当する者に対する処分は、協会が定めるJFA懲罰基準に基づき規律委員会において審議決定する。
 
① 退場を命じられた者
② 警告を受けた者
③ 前2号に相当する不正な行為を行った者 

この場合、第1号・第2号には該当しないので第3号に該当することになります。
すなわち岩下敬輔は警告ないし退場処分が適当であったということ

退場処分が適当で、JFA懲罰規程に基づいて処分するなら前述した通り。
1試合の出場停止か2試合の出場停止になると考えるのが自然なはず

しかし、実際には「厳重注意」。
この「厳重注意」というのはJFA懲罰規程の懲罰には存在しません

《懲罰規程 90ページ》
 
第4条〔懲罰の種類〕
1.選手等に対する懲罰の種類は次のとおりとする。
 
(1)警告
主審が試合中に競技者に対し、競技規則に基づきイエローカードを示す
 
(2)退場・退席
主審が試合中に競技者(退場の場合)又は監督その他の関係者(退席の場合)に対し、試合中にフィールド及びその周辺から立ち去るように命じる
 
(3)戒告
口頭をもって戒める
 
(4)譴責
始末書をとり、将来を戒める
 
(5)罰金
一定の金額を本協会に納付させる
 
(6)社会奉仕活動
 
(7)没収
取得した不正な利益を剥奪し、本協会に帰属させる
 
(8)賞の返還
賞として獲得した全ての利益(賞金、記念品、トロフィー等)を返還させる
 
(9)一定数、一定期間、無期限又は永久的な公式試合の出場停止
一定数、一定期間、無期限又は永久的に、公式試合について、フィールド、ベンチ、ロッカールーム等の区域に立ち入ることを禁止する
 
(10)公的職務の一時的、無期限又は永久的な停止・禁止・解任
本協会又は加盟団体における一切の公的職務を一定期間、無期限又は永久的に停止し、禁止し、又は解任する
 
(11)一定期間、無期限又は永久的なサッカー関連活動の停止・禁止
サッカーに関する一切の活動を一定期間、無期限又は永久的に停止し又は禁止する
 
(12)除名
本協会の登録を抹消する

競技及び競技会における懲罰基準においても「厳重注意」なんて処分は書かれていません。
すなわち、岩下敬輔は処分の対象ではなかったと考えなければなりません

そうするとJリーグ規約第67条との齟齬が発生してしまうという結論になるのですが

考えられる可能性としては、Jリーグ規律委員会が何かの条文を根拠に事情聴取を行った。
ということになるのですが、その根拠条文は見つかりませんでした



※追記
こちらの考え方が正解なのではないかと思います


すなわち、Jリーグ規律委員会は ピッチにおける懲罰事由の調査を行っただけ。
調査してみたところ、「粗暴な行為」に該当しないため「乱暴な行為」には該当しない。
また、アウトオブプレー中の出来事なので他の警告・退場にも該当しない。
したがって岩下敬輔の行為は懲罰処分の対象外となる。
しかし問題があるプレーだとは認識している

Jリーグ規約第67条は処分する際にJFA懲罰基準に従うとある。
今回は処分ではないのでJFAの懲罰規定に従う必要はない。
そのため、「厳重注意」という懲罰規定に書かれていない事態が起きた

ただし、この場合でも事情聴取の根拠が不明です。
また、「粗暴な行為」の基準がガイドラインのも書かれていないため判断できません。
退場処分でなければ警告対象にもならないとなるが、類推解釈を引き起こしかねない。
といった点も気になってくるのですが

追記終わり




しかし、私にはこれを究明する術がありません 

なぜならJFAの懲罰規程において手続きの非公開が定められているからです

懲罰規程
《懲罰規定 94ページ》

第19条〔手続の非公開〕 
規律委員会、裁定委員会及び不服申立委員会における懲罰の手続及び記録は非公開とする。ただし、規律委員会、裁定委員会又は不服申立委員会は、手続の公正が害されるおそれがなく、かつ、相当の理由があると認めるときは、関係者の傍聴を許すことができる。 

この手続きが非公開になるのは仕方がない部分があるのは理解できます。
しかし、モヤモヤ感が残ってしまうのも避けられないでしょう



⑥終わりに
今回の件について調べてはみたのですが、どうしても推測の域で終わってしまいました。
調べていて改めて感じるのは、Jリーグ規約やJFAの懲罰規定に対する違和感です


岩下敬輔の行為やはり退場となるべき行為だと思います。
一部で清水航平の挑発などを理由に岩下敬輔を庇う声もあるようですが、清水航平がどうあったかにかかわらず岩下敬輔の行為は非難されるべきものに変わりはありません

そして他の事例と比較してなぜ今回は懲罰処分を下せなかったのかが判然としない

多くの選手・ファンはその違いが分からないため結論に不満を持つでしょう。
あるいはこの程度ならやってもいいんだというように類推解釈することを止められません

そうした不満・解釈からくる煽りは、審判員に向いてしまっています。
前回も書きましたが審判団が見逃したのは仕方のないことにもかかわらずです。
他事例と同様に処分できていれば審判団を助けることにもなったのではないでしょうか

「試合中に審判員が確認できなかった極めて悪質な行為」という制度は、そうならないための審判員に対するフォローアップのための存在だとずっと思っていました

しかし、現実にそれができていない。
本来、それができるような規約・規程があるべき姿ではないでしょうか。
(もちろんここまでの推論が外れていて処分なしが妥当なのかもしれませんが)


また、Jリーグ規約とJFAの懲罰規程とがしっくりこないのも気になります。
Jリーグ規約において「JFA懲罰基準」と書かれているところもその一つ

他にも、懲罰規定の中の、競技及び競技会における懲罰基準には、「主審は警告を命じ、かつ規律委員会は以下①から②号のとおり懲罰を科す」、「主審は退場を命じ、かつ規律委員会は、各項①号以下の定めにより懲罰を科す」と書かれています

これを言い換えると、警告または退場処分を受けていなければ懲罰は出せないのか。
それでは「試合中に審判員が確認できなかった極めて悪質な行為」の関係がちぐはぐです。
不文律として存在するのかもしれませんが、条文が上手く対応していないように感じます

そういった点も含めてJリーグにはきちんと規約規程を整備してもらいたいです



今回の処分はほぼ確実に覆らないでしょう。
そして、岩下敬輔の退場がなかったため敗れたなどとは思っていません。
審判団が見れなかった以上、結果は変わりませんから

しかし、一方でとても悔しいのです。
サンフレッチェ広島とガンバ大阪の試合はとても見応えのある素晴らしい試合でした。
我々は負けたといっても、ある意味で清々しい負けだったのです

そんな素晴らしい試合に岩下敬輔は水を差す行為をした。
コメントも出していますが決して美談にしないためにも本稿を書き上げた次第です


最後に、改めてフェアプレーの意義を確認しておきましょう。
選手だけでなくファン・サポーターもしっかり胸に刻んでおくべきものですから

サッカーファミリー
《JFA公式HP 2015年5月14日閲覧》

フェアプレーとは
1 ルールを正確に理解し、守る
フェアプレーの基本はルールをしっかりと知った上で、それを守ろうと努力することである。
 
2 ルールの精神:安全・公平・喜び
ルールは、自分も他人もけがをしないで安全にプレーできること、両チーム、選手に公平であること、みんなが楽しくプレーできることを意図して作られているのである。
 
3 レフェリーに敬意を払う
審判は両チームがルールに従って公平に競技ができるために頼んだ人である。人間である以上ミスもするだろうが、最終判断を任せた人なのだから、審判を信頼し、その判断を尊重しなければならない。
 
4 相手に敬意を払う
相手チームの選手は「敵」ではない。サッカーを楽しむ大切な「仲間」である。仲間にけがをさせるようなプレーは絶対にしてはならないことである。



※追記
書き終わって読みました。参考までに

【参考】
岩下の処分について
《とりあえず 2015年5月14日閲覧》 


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J1 1st第11節における岩下敬輔(G大阪)の行為について 前編

先日のガンバ大阪戦で岩下敬輔の行為が話題になっています

その問題についてガンバ大阪から公式発表がありました。
内容は下記の通り

「明治安田生命J1リーグ 1stステージ第11節サンフレッチェ広島戦」における、岩下敬輔選手の行為についてのお詫び
《ガンバ大阪公式HP 2015年5月13日閲覧》

2015年5月10日(日)に行われました、「明治安田生命J1リーグ 1stステージ第11節サンフレッチェ広島戦」におきまして、弊クラブ所属、DF岩下敬輔選手が相手選手に対しプレーとは関係のない場面で、肩と肘をぶつけるという行為を行いました。これは、Jリーグが掲げるフェアプレーに大きく反する行為であり、岩下選手の行為は決して許されるものではありません。日頃Jリーグを応援していただいているファン・サポーターの皆様、Jリーグ・クラブをご支援いただいている関係各所の皆様に不快な思いをさせてしまったことを深くお詫び申し上げます。
 
本日、岩下選手は、公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)規律委員会から直接、事情聴取を経て厳重注意を受けました。この処分をクラブ・本人ともに真摯に受け止め、クラブとしてもチーム規律に基づき厳重注意を行うとともに、フェアプレーの徹底に取り組むべく、チーム全体に対して再発防止に向けた指導・教育を行ってまいります。
 
ご迷惑をおかけした皆様には重ねてお詫び申し上げます。


処分が軽いという意見、審判に対する不満など色々な意見が散見されます。
私個人としても今回の件を有耶無耶にしたくはないので一度まとめてみることにしました

なお、本稿において敬称は省略させて頂きます。
あと長くなったので2回に分けます



①該当シーンの確認
問題シーンはNHKでは映らなかったらしいですが、スカパーではばっちり映っていました。
私は試合会場で応援していたため、当時何が起きてるのか全く分かっていませんでしたが



画像を交えながら少し詳しく状況説明しておきましょう。
当事者である岩下敬輔(G大阪)と清水航平(広島)を中心に

岩下01


塩谷司(広島)がドリブルで持ち上がったところをリンス(G大阪)が倒してファール。
サンフレッチェ広島がFKを得ます

岩下02

FKを蹴る前の位置関係。
岩下敬輔はおそらく左から4番目のG大阪の選手だと思われます。
清水航平は早いリスタートに準備していたのか、まだサイドです

岩下03

清水航平はセットプレーに参加するため中央へ移動。
岩下敬輔は自分が対応するため、隣の選手に佐藤寿人(広島)をケアするよう指示。
セットプレー直前の位置関係はこちら

なお、この位置どりの際に清水航平が岩下敬輔と接触があったようにも見えます

岩下04

そして、FKを蹴る直前に清水航平と岩下敬輔が体をぶつけているのが確認できます

岩下敬輔からすれば進行方向の妨害にも見えますが、身体のバランスを大きく崩したわけでもないので視野の内での出来事だったのではないかと想像していますが

岩下05

FKを柴崎晃誠(広島)がずらして野津田岳人(広島)がシュートしましたが枠を外れます

岩下06

ゴールキックになったため各選手がポジションに戻ろうとします。
清水航平は持ち場が右サイドであったため、その方向へ帰ろうとしました

岩下07

そこで岩下敬輔と清水航平が接触

岩下08

清水航平は顔を押さえて倒れ込みます

岩下09

ここで扇谷主審が笛を吹き事態を確認しました

映像で見るとイヤホンに手を当てています。
また、副審の方を向いているので副審に事情を確認したと考えるべきでしょう



②岩下敬輔の行為と主審の判定
岩下敬輔が清水航平に対して故意に接触したという点に異論はあまりないでしょう
清水航平が横切るタイミングで腕を振っているように見えますから

接触部位に関してははっきりとは分かりませんが、顔もしくは胸部、腹部。
ゴール裏からの映像では右肩もしくは右腕、右手をぶつけているように見えます

サッカー競技規則に照らし合わせれば「乱暴な行為」に相当すると考えるのが妥当でしょう

《サッカー競技規則 39ページ》 

退場となる反則
競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の 7 項目の反則のいずれかを犯した場合、退場を命じられる。
 
●乱暴な行為 
《競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン 127ページ》
 
乱暴な行為
競技者がボールに挑んでいないとき、相手競技者に対して過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、乱暴な行為を犯したことになる
 
また、味方競技者、観客、審判員あるいはその他の者に対して過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、乱暴な行為を犯したことになる。
 
乱暴な行為は、ボールがインプレーであるとないとにかかわらず、フィールド内またはフィールドの境界線の外側のいずれでも起こり得る。
 
明らかに決定的な得点の機会が続く場合を除き、乱暴な行為が犯されている状況ではアドバンテージを適用すべきでない。アドバンテージを適用した場合、主審は次にボールがアウトオブプレーになったとき、乱暴な行為を犯した競技者に退場を命じなければならない。
 
審判員は、しばしば乱暴な行為が集団的な騒動を引き起こすことに留意し、積極的に介入して、それが引き起こされないようにしなければならない。
 
乱暴な行為を行った競技者、交代要員、交代して退いた競技者には、退場が命じられなければならない。

余談ですが、競技規則には警告・退場の対象に「報復行為」という項目はないんですね。
他の事例では「報復行為」ではなく「乱暴な行為」として処分されているようです

【参考①】
磐田FW前田完封の横浜FMが6年ぶりの開幕3連勝!!

《ゲキサカ[講談社] 2015年5月13日閲覧》
【参考②】
報復行為で一発退場のC大阪FW南野、1試合の出場停止

《サッカーキング 2015年5月13日閲覧》

このシーンで清水航平の挑発があったという主張も見かけました(たぶん接触前のシーン)。
そうであっても「乱暴な行為」には変わりがないのでやはり退場処分が適当でしょう


しかし、実際には主審及び副審は退場処分にしていません。
これはあくまでも推測ですが、審判団は該当シーンを見ていなかったのではないでしょうか

岩下10

扇谷主審はボールの付近にポジションを取っていました(当たり前です)。
そしてボールの行方を確認した後、副審の方を見ているように見えます。
きちんとラインを割ったかを確認したのではないでしょうか

角度的にも扇谷主審は岩下敬輔と清水航平の方は見れないでしょう。
常識的に考えたら「乱暴な行為」が行われるはずのないシーンですから仕方ありません

このシーンで主審が責められるのはやはり酷というものでしょう。
22人全員のエリアを同時に90分間監視することなんて出来るはずがないんですから。
そんなことやってたらゲームなんて出来ませんよね

では副審は見ることが出来なかったのか

岩下07

先程の画像にも映っていますが副審はまずオフサイドのチェックをしていました。
そして、ボールがラインを割ったかの確認のためゴールラインまで走っています。
この状況で副審が確認するのもまた難しいのではないでしょうか

では第4審はどうかというと、言うまでもなく遠すぎて無理でしょう


扇谷主審はすぐに副審や選手に事態の確認をしているようでした。
また、後日Jリーグ規律委員会で審査されたことからも審判団が見れていなかったのでは。
この推測は外れてないと思います

審判団が岩下敬輔の行為をチェックするのは難しかった
というのが私の結論ですが、ではなんの処分もなくていいのでしょうか



画像マシマシで長くなったので2回に分けます。
次回は試合後のお話


※追記(2015年5月14日)
岩下敬輔の行為が「乱暴な行為」と判断する説明が弱かったと感じたので補足。
次回の説明にもありますが、今回の岩下敬輔の行為はJリーグ規律委員会の懲罰対象となっているため、まず間違いなく警告相当か退場相当の行為であるはずです

その上で、サッカー競技規則から警告となる反則と退場となる反則を確認してみます。
サッカー競技規則において、警告となる反則とは次の7項目を意味します

《サッカー競技規則 38ページ》 
 
警告となる反則
競技者は、次の 7 項目の反則のいずれかを犯した場合、警告され、イエローカードを示される。
 
●反スポーツ的行為
●言葉または行動による異議
●繰り返し競技規則に違反する
●プレーの再開を遅らせる
●コーナーキック、フリーキックまたはスローインでプレーが再開されるときに規定の距離を守らない
●主審の承認を得ず、フィールドに入る、または復帰する
●主審の承認を得ず、意図的にフィールドから離れる

この中で該当しそうなのは「反スポーツ的行為」だけでしょう。
そしてこの「反スポーツ的行為」について、競技規則の解釈と審判員のためのガイドラインでいくつか例示がしてありますが、該当しそうなのは「直接フリーキックとなる 7 項目の反則を無謀に行う」くらいです

じゃあ直接フリーキックとなる7項目の反則なのかというと…違います。
なぜかというとファウルとなる反則には基本要件が存在するからです

《競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン 117ページ》
 
ファウルとなるための基本的条件
反則をファウルとして判断するためには、次の条件が満たされなければならない。
 
●競技者によって犯される
●フィールド内で起きる
●ボールがインプレー中に起きる

困ったことに岩下敬輔の行為はアウトオブプレー中。
インプレー中なのでこの反則には該当しないということになります。
なお、同じ理由で退場となる反則である「著しく不正なファウルプレー」も除外されます

一方、「乱暴な行為」はインプレーに限定していません。
したがって岩下敬輔の行為は「乱暴な行為」であり、退場相当であると考えられます

追記終わり


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[memo]サッカースタジアム検討に係る調査業務の企画提案及び受託事業者について

先日、サッカースタジアム検討協議会において委託する、サッカースタジアム検討に係る調査業務の企画提案及び受託事業者が決定しました

「サッカースタジアム検討に係る調査業務」の受託業者の決定について
《広島県サッカー協会 2014年6月3日閲覧》

平成26年5月22日(木)に開催した「サッカースタジアム検討に係る調査業務プロポーザル審査委員会」において、下記の団体を本業務の受託候補者として決定し、6月2日、契約を締結しました。

日本総研・復建調査設計グループ

代表会社:株式会社日本総合研究所 大阪本社
構成会社:復建調査設計株式会社 

以前、サッカースタジアム検討協議会の構成メンバーについてまとめました。
今回も簡単に日本総研・復建調査設計グループについてまとめておきたいと思います

"スタジアムは、街づくり"について本気出して考えてみた(中編)は来週更新します


①サッカースタジアム検討に係る調査業務の公募型プロポーザル
まず、公募型プロポーザルがなんだったのかについて簡単に説明しておきます。
これはサッカースタジアム検討協議会において、より専門的な見地から協議会に情報を提供するため専門機関に一部業務を委託したものです

業務内容については長いですが、次の通り

サッカースタジアム検討に係る調査業務仕様書
《広島県サッカー協会 2014年6月3日閲覧》

2 業務内容
(1)業務を実施するに当たっての前提条件

ア 各候補地の対象エリアは別図のとおり。ただし、対象エリアの隣接地の活用については、適宜、協議会に確認する。

イ スタジアムの設備等は、日本サッカー協会の「スタジアム標準」に準拠し、Jリー グ「スタジアムの未来」を参考とする。

ウ 各候補地スタジアムは「スタジアム標準」にあるクラス1の大会が誘致可能な規模 である3万人程度をベースとする。(絞り込みの段階で、別の規模とする場合もある。)

エ 広島都市圏のまちづくりや圏域の発展に資する提案とする。

(2)各候補地に係るスタジアムの基本コンセプトの提案

(3)候補地の絞り込み手順等の提案
 (4)以降の業務を進める前段で、現在5か所の候補地を、立地特性や法的規制、アクセス条件、まちづくりの視点等の基礎調査を踏まえ、さらに絞り込むための手順・方法(調査項目等)を提案

(4)候補地に係る来場者需要予測や立地特性等の分析に基づく適正なスタジアム規模の検 討及び提案
 現在のエディオンスタジアムにおける顧客ベースと付加する機能の効果による新規 顧客に対するマーケティング分析による適正規模の提案及び入場者数予測(将来に おける顧客層の増減、周辺施設との競合・相乗効果に伴う需給環境等の変化の可能性も考慮)

(5)候補地の立地特性や交通インフラ等を考慮した交通需要予測(アクセス、輸送量、渋滞問題、特に3万人程度来場時の利用交通手段の考え方)及び必要な周辺インフラ整備に関する提案(駐車場利用・設置可能台数の算出・評価を含む)

(6)候補地に係る県・市の地域ビジョンや商圏需要予測に基づくサッカースタジアムに付加すべき機能の検討及び提案
 多機能化の需要の潜在性(一般利用ニーズの潜在性、法人需要の潜在性)、競合・共 存施設の分析に基づく提案

(7)上記(4)から(6)に基づき、絞り込まれた候補地に係る諸前提に関する検討・提案 (候補地のメリット・デメリット、デメリットの解決方法、解決に要する時間とコス ト等を含む)
 建設コストの試算、制度面の考慮や過去の事例等を踏まえた建設資金の調達方法の 検討、建設・運営主体のあり方の検討、キャッシュフローの予測、収支(サッカー競技及び多機能化による収入と支出)の予想分析、経済波及効果の分析、周辺インフラ整備コストの概算等を行い、スタジアム整備の考慮点について提案(鳥瞰図、平面図を含む)

(8)協議会での議論に資するための資料及び協議会から県・市・経済界へ提案する「サッ カースタジアムのあるべき姿」を整理した資料の作成並びに業務の実施手順・スケジ ュールの提案

上記(1)~(8)を調査する業者がこのたび決定したというわけです

日本総研・復建調査設計グループというのは、株式会社日本総合研究所復建調査設計株式会社で構成されていることから、この2者について簡単に知っておきましょう


②株式会社日本総合研究所
株式会社日本総合研究所(以降、「日本総研」)は三井住友FGのシンクタンク。
本社は東京に構えていますが、今回関わってくるのは大阪本社のようですね。
広島でこれまで手がけた業務は見つかりませんでした

「日本総研」の特徴は何と言ってもスタジアム業務でしょう

北九州市/新球技場PFI/11月中に実施方針案公表
《建設通信新聞 2014年6月3日閲覧》

 北九州市は、JR小倉駅北口の北九州国際会議場隣接地(小倉北区浅野3丁目)にPFIで計画している(仮称)新球技場整備事業の実施方針案を11月中に公表する。日本総合研究所・電通九州・アール・アイ・エーグループで策定を進めており、実施方針案と要求水準書案を公表し説明会などを行った後、12月に正式な実施方針の公表と合わせて事業者選定に向けた総合評価一般競争入札を公告する意向だ。
 総合評価一般競争入札の公告後、本年度内に参加申請などを受け付け、14年度の第1四半期で提案審査を行い、夏ごろをめどに事業者を選定し仮契約を結ぶ見通し。同年度の9月議会に諮り承認を得て正式契約し、設計・建設に着手する。
 新球技場はサッカーJリーグ2部(J2)のギラヴァンツ北九州のホームスタジアムとして計画。J1の基準を満たす収容人員1万5000人規模で、ラグビートップリーグの公式戦なども開催できる施設とする。将来的な2万人規模への拡張も視野に入れており、その場合は海上部にバックスタンドを拡張するとしている。事業方式はBTOで、Jリーグ開幕に合わせ17年3月にオープンし、31年度末まで維持管理・運営を行う。
 市では、本年度の9月補正予算で31年度までの限度額95億6538万円(うち本体設計・建設費78億1600万円、維持管理・運営費15億円)の債務負担行為を設定している。 

このように、北九州市の新球技場整備に深く関わっている模様

また、スタジアム建設募金団体(ガンバ大阪)も関わっている、万博スマートコミュニティモデル構築事業にも参画しているようです


その他では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴い整備する新規恒設施設の事業性等検討業務委託についても受託しています

五輪開催準備が加速/東京都が調査業務2件公告
《建設通信新聞 2014年6月3日閲覧》

◆コンセプト具体化/新規恒設8会場
 一方、臨海部に新規整備を計画する恒久施設は、▽夢の島ユースプラザ・アリーナAおよびB▽オリンピックアクアティクスセンター▽有明アリーナ▽若洲オリンピックマリーナ▽海の森水上競技場(ボート競技場)▽大井ホッケー競技場▽葛西臨海公園(オリンピックカヌースラローム競技場)▽有明テニスの森--の8会場。
 委託業務では、8会場を対象に大会開催後もスポーツ施設として利活用され得る施設コンセプトを定めていく。合わせて、事業スキームの検討や採算性に関する分析も行う。
 関連する事業者などへのニーズ・マーケティング調査により、施設コンセプトの方向性を探る一方、運営面を含めた事業スキームを検討。各施設の事業採算性を分析、評価する。また、各施設が地域の中でどう位置付けられ、どのような役割を果たすべきか、地域特性と融合したエリアコンセプトの検討も進める。

スタジアム単体だけではなく、周辺のデザインもやっている様子。
事業スキームや採算性の分析などは日本総研が担当することになりそうです


(おまけ)少し古いコラムですが参考までにどうぞ

【参考①】
ポスト2002のサッカースタジアム整備・運営
《日本総合研究所 2014年6月3日閲覧》

【参考②】
巨大スタジアムは負の遺産なのか ~日本版PPPの推進モデル施設に~
《日本総合研究所 2014年6月3日閲覧》

【参考③】
「臨場感」が生み出す「親近感」(カレッジフットボール)

 《日本総合研究所 2014年6月3日閲覧》


③復建調査設計株式会社
復建調査設計株式会社(以降、「復建」)とは、社団法人復興建設技術協会中国四国支部が1960年に株式会社化して誕生した企業

【参考】
復建調査設計株式会社 小田 秀樹
《広島の社長.tv 2014年6月3日閲覧》

現代表の小田秀樹氏は広島県福山市出身。
本社も広島市に存在することから広島との縁は深いようです

「復建」の手がけた業務の1つに2005年の現球場跡地利用に関する提案があります。
当時の提案は"ヒロシマ平和の杜の創造"というもの

proposal001
広島市民球場跡地利用検討会議(第1回) 資料4-2 提案21より》

proposal002
現球場(広島市民球場)跡地利用の方向性について(報告)より》

広島市民球場跡地利用検討会議は見事パス。
しかし、広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者の選考では条件面が整っていないため、最終選考から外れる結果となっています

その他にも、基町住宅地区活性化のための調査・検討等業務の公開プロポーザル広島南道路太田川放水路橋りょうデザイン提案競技選考等にも積極的に応募しているようです


業務内容に目をむけると非常に多岐に渡っていることが分かります。
その中でも、交通計画その分析に長けているというのは特徴的です

おそらく経済波及効果や交通計画の調査を担当するのではないでしょうか


もちろん業務内容で分担するとは限りませんが。
もしかしたら参考になるかもしれません 

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なぜ"ACLは罰ゲーム"と揶揄されるのか(2014ACL小括・下)

前回の続き



④移動距離による影響
ACLという大会には中国、韓国、オーストラリアといった他国のクラブも出場します。
すなわちアウェイゲームでは国内リーグとは比較にならないほどの移動距離

そこで、ゼロックススーパーカップからJ1第14節までの移動距離を算出してみました

2014ACL-002
《Googleマップを元に作成》

上記のような結果となりました。
オーストラリア移動などがあるACL出場クラブの負担は文字通り桁違い。
特にサンフレッチェはオーストラリア遠征が二度あったことが大きかったようです

余談ですが、リーグ戦だけで見るとサガン鳥栖の負担も莫大ですね。
サンフレッチェもリーグ戦では関東圏での試合がゼロにもかかわらず2番目に多い


また、上記計算には交通手段が含まれていないことも付け足しておきます。
例えば広島は空港機能が弱いため、関西空港や福岡空港への移動も必要なのです


Jリーグは2013年からACLサポートプロジェクトというものを再開しました。
このサポートの中には移動に関する金銭的補償も含まれています

2012 年度 第10回理事会 追認事項
《日本サッカー協会 2014年5月18日閲覧》

ACLサポートプロジェクト 再立ち上げの件
 2007 年よりJFAとJリ―グがACLに参加するJクラブをサポートする目的で「ACL サポートプロジェクト」を立ち上げ、2007 年は浦和レッズ、2008 年はガンバ大阪が優勝した。 その後同プロジェクトは一定の役割を果たしたということで、2010 年をもって発展的に解消 した。しかし、2009 年以降、JクラブはACLで上位に進出出来ていない状況である。 JFA・Jリーグ・Jクラブが一体となってACLを盛り上げ、優勝を目指してサポート をするため、J リーグと協働でACLサポートプロジェクト 再度立ち上げることとした。

一方で、移動距離による影響は金銭面のみではありません。
日程面での負担にも関わりますが移動時間が長ければ調整時間も減ります。
また、長距離移動・過密日程に対応できない選手もいるという話

第11回サポーターズカンファレンス議事録
《サンフレッチェ広島 2013年7月20日》

2)チーム強化と選手育成について
 繰り返しになりますが、ACLを「捨てた」とか「諦めた」とかいう思いはわれわれにも一切なく、選手、監督にももちろんそんな思いはありません。ただメンバー編成上、週に2試合というペースで試合は進んでいきます。そんな中で連戦をすることで力を発揮できる選手とそうではない選手、しかも長距離の移動が入った時にどうかということを考えると、やはりいつも同じメンバーでは戦えないというのがわれわれの中での結論でした。

サポートプロジェクト自体は良い取り組みですが、補いきれない部分もあるようです


⑤経営サイドの事情
最後にチーム運営とクラブ経営のジレンマについても挙げておきましょう。
ご存じの通り、現在Jリーグはクラブライセンス制度というものを実施しています。
経営的な話に限れば、3年連続の赤字と債務超過は認められません

ここで問題となってくるのが、ACLは投資に見合う大会であるかという点です

ACLという大会は、賞金の面では決して恵まれた大会ではありません

ACL Manual 2014
《The Asian Football Confederation 2014年5月18日閲覧》

1.2.2 Prize Money, Performance Bonus, and Participation Fees 
Champion: US$ 1,500,000 
Runner up: US$ 750,000 
Clubs taking part in Semi Finals: US$ 120,000 
Clubs taking part in Quarter Finals: US$ 80,000 
Clubs taking part in Round of 16: US$ 50,000 
Per each Group Match win: US$ 40,000 
Per each Group Match draw: US$ 20,000
 
1.2.3 Travel Subsidies 
Visiting Clubs taking part in Semi Finals and Finals: US$ 60,000 
Visiting Clubs taking part in Quarter Finals: US$ 50,000 
Visiting Clubs taking part in Round of 16: US$ 40,000 
Visiting Clubs taking part in the Group Stage: US$ 30,000 
Visiting Clubs taking part in the Play-offs: US$ 20,000 

2014ACL-005
Jリーグ公式HPJFA公式HPから作成》

1USドル=100円で換算すると、優勝賞金はそれなり(CWC出場権もあるため)。
しかし、優勝以外の賞金は決して高額とは言えません

ちなみに、ラウンド16で敗退した広島・川崎・C大阪が獲得した500万円というのはJ2リーグ3位ないしJ3リーグ優勝賞金と同額ということになります(遠征補助金や勝利賞金は除く)


また、ACLという大会は露出が少なく基本的に平日開催であるため閑古鳥が鳴いています

2014ACL-001
Jリーグ Data Site、各クラブHP及びスタジアムは超満員!を元に作成》

このように、リーグ戦の平日開催と比較してACLの方が多かったのは5件。
そのうち、2007年と2008年の浦和は駒場スタジアムで試合を開催したことが原因です

当然、休日を含んだリーグ戦と比較すると多くのクラブが集客で苦しんでいます


つまり、Jクラブの収益3本柱のうち、賞金と入場料収入が望めないということ。
したがって、スポンサー収入(とグッズ収入)に頼らざるを得ないのが現状です

13年度、過去最高売上高 株主総会で報告
《中国新聞 2014年4月25日》

 J1広島は24日、広島市中区のホテルで株主総会を開き、売上高が過去最高の31億9700万円、当期利益が1億3千万円となった2013年度(13年2月~14年1月)の決算を報告した。ACLの決勝トーナメント進出に伴い、遠征費の増加や、大型連休中の開催だった5月6日の横浜M戦が平日の7月15日に変更されるなど、3千万円の利益の減少が見込まれると試算。小谷野薫社長は「新規スポンサーの開拓や新たなグッズ展開など収益拡大に一層取り組まないといけない」と強調した。

4月の株主総会でサンフレッチェ広島はACL出場に伴う3千万円の利益減少を試算。
特に大きかったのはラウンド16進出に伴うGWホーム主催試合の延期でしょう。
入場者数の差もですが、祝日開催が平日開催×2に変更となったことも大きな点です


出場するためには遠征などでコストが増える。
出場しても賞金・入場料収入は期待できない

最低限の戦力で挑んでもらう方がクラブにとって良いというジレンマが発生し得ます

さらに、クラブライセンス制度や、Jリーグの降格制度などがちらついていることでしょう。
経営サイドからすれば、この状況で投資をする勇気を持てるでしょうか



⑥上記を踏まえた提言
2回にわたって"ACLは罰ゲーム"と言われる要因を列挙してみました。
この他にもラフプレーによる負傷の可能性、判定に対する不満、なども耳にします。
本稿ではそういった外部の事情などは外し、あくまでも国内限定の問題点を挙げてきました

戦力補強やACLで勝てるサッカーを志向するべきという指摘もあるでしょう。
しかし、それ以前に"勝った方が得をする"とまではいかなくても、"勝ってもそこまで損はしない"程度まで環境を整えることなしにACLで勝ち上がることは難しいと考えています

2014ACL-006
Jクラブ個別経営情報開示資料を元に作成》

以前はその負のインセンティブを跳ね返すだけの経営体力がありました。
クラブライセンス制度も含めて、当時の状況から大きく変わっているのが現実です


ならばできることから1つずつ改善していくしかありません。
簡単ではありますが、ここまでの流れに沿っていくつか改善策を考えてみました。
実現可能性までは考慮してませんし、短期での解決策もあれば長期での解決策もあります


まず、日程面についてはナビスコカップの配置を調整してはどうでしょうか。
降格制度があり、実力が拮抗している以上、リーグ戦での不公平感は減らすべきです。
リーグ戦の品質を落としかねませんが、ACLとトレードオフだと考えます

また、GW期間中の過密日程解消は再検討して欲しいところです。
特に4月29日(昭和の日)の試合開催を移動できると日程的にものすごく楽になるはず。
7月後半~8月のミッドウィークに移動することが出来れば経営的な打撃も小さいでしょう。
ただし、ここにはACLの試合日が入る可能性もあるので、慎重な検討が必要です

一方で、GW期間中、ACL出場チームのホーム開催を確保しておきたい。
4月26日から5月6日までにJリーグは4試合(うちACLで1試合延期)ありました。
延期日にはACL出場クラブ同士の対戦を設けるため、どうしてもホーム開催が偏ります。
そこで、5月3日はACL出場クラブのホーム開催を優先的に配置できないでしょうか。
これで興行的にもフォローできるはずです

ゼロックススーパーカップの日程に関しても改善の余地があります。
今年、サンフレッチェはゼロックスから中2日で初戦を戦わざるを得ませんでした。
しかも会場は国立競技場、ホーム側でしたが広島からは約700km離れた土地。
集客上の懸念はありますが、ここが金曜開催にできれば初戦を少しは楽に戦えたはずです

レギュレーションでは、ACL出場権をナビスコカップ王者に移せないでしょうか。
ナビスコカップ王者にはスルガ銀行チャンピオンシップの出場権が与えられます。
しかし、こちらは例年8月上旬に開催されている大会。
この出場権を交換することができればで日程的な負担は少しでも改善されます

移動距離に関しては抜本的な改善案はありません。
その負担を小さくするため以前はチャーター機を借りるなんて話もありました

名古屋、チャーター機費用は協会、Jリーグ、クラブで分割
《サポティスタ 2014年5月18日閲覧》

ACL準決勝に進出し、サウジアラビアのアルイテハドと対戦することが決まった名古屋は、21日のアウェーでの第1戦に向けてチャーター機で移動をするという。チャーター機の使用費用は約7000万円。費用は日本協会とJリーグ、クラブの3者での分割負担となるそうだ。チャーター機にはサポーターも同乗する予定。名古屋にとっては、これが初のチャーター機での移動になるという。

移動距離の負担を軽減する1つの方法は柔軟な日程変更でしょう。
しかし、ただでさえ過密日程の中で試合日を動かすことで対応するのには限度があります。
ターンオーバーを積極的に行うことで対応するのが現実的でしょうか

経営面では何よりもまずACLという大会の価値を高める必要があります。
平日開催という理由だけでなく興行的に旨みが少ない大会であることは前述したとおり。
JクラブとJリーグが協力して大会を盛り上げなくては現状は変わらないでしょう

最後に、やはりスタジアムが重要となります。
川崎フロンターレは3月28日と4月11日に金曜開催を実行に移しました。
金曜、すなわち平日開催による観客数減少は小さくないリスクです

しかし、この日程変更をしなければACLを中2日で挑むことになっていました。
金曜開催を行うためには平日であっても一定以上の集客が望める環境作りが必要です。
試合日の周知徹底はもちろん、終業後に駆け付けることの出来る立地も重要

現在、村井チェアマンが全国を行脚してスタジアム整備を訴えています

【参考①】
Jリーグチェアマンがファジ視察専用スタジアムの必要性訴え
《山陽新聞 2014年5月18日閲覧》

【参考②】
モンテ視察の村井Jチェアマン一問一答 スタジアム理想は都市型
《山形新聞 2014年5月18日閲覧》

この流れを加速させることですね



⑦終わりに
以上をもって2014年ACLの小括とさせていただきます

本稿の趣旨は、ACLに出場することによって現在生じている負のインセンティブをある程度改善することによって、よりACLに力を注げるようにできないか、というものです

そして今回調べていく中で改めて確認できたことがあります。
それは敗退の責任をJFAだけに押しつけるのはナンセンスであるということ

今年はワールドカップ開催の影響で5月中旬~7月中旬の日程が端から埋まっています。
その状況でリーグ戦、カップ戦、ACLをこなすスケジュールを組めば過密になるのは当然。
過密日程を解消しろという批判はよく見ますが、どうすればいいのか私には分かりません

【参考】
2014日程(1月版)
《とりあえず 2014年5月18日閲覧》

過密日程の解消は、J1所属チーム削減、リーグ2月スタート、秋春制導入、AFCの改革などの検討というように、小手先の取り組みではどうにもならない次元の問題となっています

もはやACL出場と過密日程は不可分の関係とさえ言っていいでしょう。
今現在はそれを受け入れ、少しでも負担と疲労を軽減できる方法を模索するべきです。
(スケジュールの大改革はACLとは切り離して行うべきだと考えます)


川崎フロンターレはそのことをよく理解しており、金曜開催に踏み切っています。
Jリーグも柔軟に対応してくれたお陰で中3日で試合に臨むことができました。
(なお、サンフレッチェも金曜開催に踏み切れば中2日を2つ減らすことが可能でした。)
他にも、日曜開催の再開やサポートプロジェクトなどJFAは支援の姿勢を見せています

しかしJFAが行うのはあくまでもサポートであって全面バックアップではありません。
あくまでも大会に出場するのはACL出場クラブであってJFAではないのです

《スポーツニッポン 2014年5月18日閲覧》 
 
 日本サッカー協会の大仁邦弥会長は15日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメント1回戦で日本勢が全滅したことについて「非常にショック。Jリーグの価値や日本サッカーのレベルにも影響する」と遺憾の意を示した。
 日本協会は昨季からJリーグと共にサポートプロジェクトを立ち上げ、遠征費補助などで出場クラブを支援してきた。2季目は早期敗退となり、原博実専務理事は「何年も勝てていないのは理由がある。原因は過密日程だけではない。いろんな角度から考えて結論を出したい」と厳しい表情を見せた。

JFAのサポートが適切であるか十分であるかという議論はまた別です。
むしろ上記の提言以外でもAFCでの発言力向上など求めたいことは沢山あります

ですが、サポートを受けている身で後ろ足で砂をかけるような行為は如何なものでしょうか。
その行為は"サンフレッチェ広島"という看板に泥を塗っていないでしょうか?


力が足りないのはJFAだけではありません。
クラブも、チームも、そして我々サポーターの力も足りていないからこその結果。
それをしっかりと受け止め、糧にして再チャレンジしなければなりません

2010年に得た経験値はほんの2年経過したことで風化していました。
ACLの経験値は毎年出なくては積み上げられないもののようです。
2015年もまたあの舞台で戦えることを願って


最後に、今年2月の中国新聞に掲載されたサンフレッチェ広島、ミハエル・ミキッチのインタビューを一部抜粋して締めくくりたいと思います

ここまでありがとうございました

サンフレ2年連続3度目のACL25日初戦 紫のリベンジ
《中国新聞 2014年2月21日20面》

――ACLを勝ち抜くためには何が重要ですか。
 単純に言えば、時差と気候の差に対応することだ。私はディナモ・ザグレブ(クロアチア)時代に2度CLに出場したが、移動はすべて1,2時間の範囲だった。長距離移動を伴うACLは厳しい戦いを強いられる。だからホームでの試合はとても意味があるものになる。負ける痛みは大きい。ことしもホームが初戦で相手は去年も戦った北京国安だ。1次リーグは最低3勝。一つでも失うと先に進めないと思っている。

――国内リーグとは違う相手との戦いで得られるものは何ですか。
 CLにはマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)やACミラン(イタリア)などのビッグクラブが出場する。強豪と戦うことで自分に何が足りないのか、これから何をしなければならないのかを知ることができた。大きな差もあれば、わずかなものもあった。位置取りなど細かい差まで発見できる。若ければ若いほど、モチベーションになる。それはACLでも同じだ。Jリーグでは味わえない貴重な経験となるはずだ。

――ACLの現状をどう見ていますか。
 ホームの観客の数が少ない。CLはビッグクラブが出場することもあり、前日からみんなわくわくして、リーグ戦以上に盛り上がる。日本ではリーグ戦にはたくさん来てくれるが、ACLは少ない。チームが勝つためにたくさんのファンが来場してホームの雰囲気をつくり上げないといけない。ホームタウンを世界にアピールできるチャンスでもある。
 CLはどの大陸の選手、クラブも憧れる。多額の賞金が入り、クラブは補強などに充てることができる。ACLとは比較にならない。だがACLも大きな大会になれば、フォルラン(C大阪)のような世界的な選手がJリーグにどんどん来るかもしれない。


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ガンバ大阪の取り組む"募金で建てるスタジアム"

G大阪の新スタジアム7月に着工
《ニッカンスポーツ 2013年1月12日》

 大阪・万博敷地内に建設を目指してきたG大阪のサッカー専用スタジアムが、7月に着工することが11日、分かった。この日、辞任が決まった金森喜久男社長(64)が「7月に(建設が)始まり、完成に20カ月はかかる。15年夏までにはできる予定」と明かした。新スタジアムは4万人規模。

今回は、報道のあったガンバ大阪のスタジアム問題について

ガンバ大阪のスタジアム問題は広島にとっても無縁ではありません。
西日本には"サッカー専用スタジアム"が少ないというのが1点(注)。
もう一点は、長年スタジアム問題に苦しんでいるということがあげられます

(注記)
"サッカー専用スタジアム"をホームスタジアムとして使用しているのはセレッソ大阪、ヴィッセル神戸、ガイナーレ鳥取、アビスパ福岡、サガン鳥栖の5クラブで、陸上競技場は9クラブ
当ブログでは陸上トラックがないことを"サッカー専用スタジアム"の要件としている


京都サンガ、ガンバ大阪、そしてサンフレッチェ広島。
スタジアムの建設を渇望しながらもなかなか前に進まない3クラブ。
その中で、現在最も可能性の高い位置にいるのがガンバ大阪です

では、まずガンバ大阪のスタジアムの現状から見ていくことにしましょう。
今回はちょっと長めです



①ホームスタジアム=万博記念競技場
ガンバ大阪の本拠地、万博記念競技場はその名の通り万博のために作られた陸上競技場。
京都の西京極や国立ほどではありませんが1972年開場と古い歴史があります

万博記念競技場
《独立行政法人 日本万国博覧会記念機構 2013年1月12日閲覧》

日本陸上競技連盟第1種公認陸上競技場で、Jリーグガンバ大阪のホームグラウンドです。
フィールドは天然芝、トラックは400m8コースを備え、スタンドは21000人が 収容可能です。
Jリーグ試合時は観戦されるお客様の熱気にあふれます。

大ざっぱな仕様は上記の通り。
陸上競技場ではありますが、メインスタンド・バックスタンドにはそれなりに傾斜があります。

121027-14

そのお陰で、バックスタンドからの観戦(昨年10月)は思ったほど悪くありませんでした。
ゴール裏はどうしても高さがないのですが

gamba2012-access
ガンバ大阪オフィシャルサイトより》

アクセスは上記の通り。
駐車場はスタジアム前に1000台分あるそうですが、一般利用にも使われるそうで。
基本的に、大阪モノレールかJR茨木駅からの臨時バスが基本となるものと思われます

この環境は本当に広島そっくり。
21,000人収容だからなんとかなっていますが、帰り臨時バスは長蛇の列。
モノレールの券売機も2台か3台しかない上に入場制限もありました

仮にスタジアムが出来たとしてもアクセス問題に頭を抱えそうです



②ガンバ大阪のスタジアム建設までの流れ(※近年)
現在までの流れは基本的に下記のブログが分かりやすいでしょう


ここでは現計画とガンバ大阪を主体として見た流れでまとめられています。
このブログでは大筋をざっくりと書きながら、一部補足するような形で書いていきます。
(被っているため省略している部分は「※まとめブログ参照」と記載しておきます)

(注記)
他クラブのサポーターが調べたものなので不足や間違いは多いと思われる
そのことを前提に


◆佐野社長の時代以前
古いものまで遡れるだけ遡ってみたところ、1993年に関西国際空港対岸のりんくうタウンにサッカー専用スタジアムを作る構想があったそうです。
「いずみさのまちづくり市民会議」が出したもので、署名活動を目指していたとか。
実際に署名活動があったのかは調べた限りでは分かりませんでした

【参考】
りんくうタウン、ドーム式サッカー場構想――大阪府佐野市の市民団体が提案。

《日本経済新聞 1993年9月18日大阪夕刊19面》

近年のスタジアム構想で言うと、高槻市移転の話をまず挙げるべきでしょう。
2003年に高槻市市長として再選を果たした奥本努氏が公約に掲げたものです

ガンバ大阪、高槻に移転? 公約の市長、意欲 【大阪】
《朝日新聞 2003年4月30日30面》

 Jリーグ1部(J1)ガンバ大阪が数年後に大阪府の吹田市から高槻市に本拠移転する可能性が出てきた。27日の高槻市長選で再選された奥本務市長が29日、J1の試合があった吹田市の万博記念競技場で取材に応じ「3万人規模のサッカースタジアムと練習場を二つ、三つ造りたい」などと、ガ大阪誘致を前提としたサッカー場建設構想を語った。これに対してガ大阪の佐野泉社長も「サッカー専用球技場は大阪に一つもないし、大歓迎。もし出来たら、ホームスタジアムにする」と明言した。
 奥本市長は、新スタジアム建設とガ大阪の誘致を市長選での公約に掲げていた。同市長によると、候補地は京都大学農場(15万平方メートル)となっている場所。具体的な建設計画はまだ固まっていない。

結果的にこの計画が実施されることがなかったのは皆さんご存じの通りです。
この経緯については中立的な視点が少なく、長くなるため割愛することとします

上記記事にもある佐野元社長の時代からガンバはスタジアム建設に積極的でした。
万博記念競技場の21,000人という収容人数が少々手狭だったことが最大の理由でしょう

これは広島とは逆ですが、身の丈に合わないスタジアムとみれば近いものはあります

【参考】
Jリーグニュースプラス Vol.2 クラブの決意が 地域の心を動かす(pdf注意)
《Jリーグ公式 2013年1月12日閲覧》

 さらにその先をにらんだとき、佐野社長、桑原常務は口を揃えてこう言った。「次の一手は、スタジアム」。
 現在のホームスタジアムである万博記念競技場の最大収容数は2万1000人。ガンバ大阪が2010年に目標とする入場者数1万9000人、収容率90%を考えても早晩、限界に近づく。そこで、収容数3万人、サッカー専用で快適に観戦できる設備はもちろんのこと、試合のないときでも地域の拠点として子供からお年寄りまでが集い、絶え間ない笑顔があふれる「複合型スタジアム」を理想に掲げる。


◆金森社長の就任以後
ガンバ大阪のスタジアム構想を語る上で欠かせないのが前G大阪社長の金森喜久男氏。
氏がガンバにやって来たことで一気に前進したといっても過言ではありません

2008年4月に就任すると7月にホームページで建設計画を発表
吹田市、茨木市、高槻市、豊中市などが候補に挙げられたため、その前後でスタジアム建設・誘致に向けた署名がにわかに活発化しました

「新スタジアム」建設にむけて
《ガンバ大阪オフィシャルサイト 2013年1月12日閲覧》

 今年よりこの「新スタジアム」建設を最重要課題として、地域行政に頼る形ではなく、ガンバ大阪が建設への更なる前進を進めるべく調整・検討をしております。

 ガンバ大阪よりホームタウン重点4市である吹田市・茨木市・高槻市・豊中市に対しまして、『スタジアム建設可能候補地』のご提供のご相談をさせて頂きました。その際に、報道にもございました「吹田市・エキスポランド(休園中)」も候補地の一つとして調整・検討させて頂いております。


特に積極的だったのは茨木市と吹田市。実際に署名活動を展開しています。
一方で、その間にもエキスポランドの活用方法は2転3転(※まとめブログ参照)しました。
建設場所についてはどうなるのか全く分からない時期ですね


前回の発表から約1年たった2009年7月、HPで再度スタジアム建設計画を発表
ここで寄付金募集団体を設立することを発表し、建設場所も万博敷地と明言しました 

「新スタジアム」建設にむけて
《ガンバ大阪オフィシャルサイト 2013年1月12日閲覧》

【建設場所】
建設場所についてですが、報道にもありますとおり、ガンバ大阪がJリーグ発足から使用させて頂いている万博記念競技場がある、万博敷地内での建設を万博記念機構、吹田市、大阪府にお願いしております。

【建設資金・寄付金募集団体設立】
一番大きな要素となる建設資金ですが、この不況といわれる現代において、いま行政にその資金を頼れる時代ではありません。その為、ガンバ大阪は、皆さんの力で寄付金を集めてこの新スタジアムを建設することを考えております。

これでようやく決まったかと思いきや2010年にまたも停滞(※まとめブログ参照)。
2011年6月頃にはガンバ大阪高槻後援会の署名活動がスタートするなど混迷気味

どうなるんだと注目される中、ついに10月に万博での建設決定という報道がありました

万博内に新スタジアム“ガンバ・パーク”プラン浮上…G大阪
《2011年10月25日 スポーツ報知》

  G大阪は2013年度末の完成を目指している新スタジアムの候補地を、大阪府吹田市の万博記念公園内に決定した。24日、金森喜久男社長(62)らが吹田市にスタジアム建設決定の報告書を提出。新スタジアムは現在のクラブハウスの付近に建設される予定で、閉園中のエキスポランド跡地に建設案が持ち上がっている商業施設と連携するプランも浮上。万博公園に一大“ガンバ・パーク”ができあがる可能性が出てきた。



建設にこぎ着けるため、ガンバ及びガンバ大阪吹田後援会は署名活動を展開
11月から約1ヶ月で206,207筆集め、吹田市に提出しました。
広島のサポーターも協力された方が少なからずいらっしゃったそうです

高槻市については最終的に建設・誘致とはなりませんでした。
下記のブログに詳細が書かれていたのでご紹介しておきます



こういった経緯を経て、2011年12月ついに建設が決定しました。
ガンバ、京都、広島といい、スタジアム建設には恐ろしく時間がかかっています



③現計画の特徴(建設費)
では、そのスタジアム計画とはどんなものなのか。
スタジアム建設募金団体公式ホームページは非常に分かりやすい

【参考】
スタジアムコンセプト-グランドコンセプト
《スタジアム建設募金団体公式ホームページ 2012年11月3日閲覧》

スタジアムの特徴についてはこちらのページを見ておけば十分でしょう。
「寄付」による建設を目指しているということでその手法の方に注目してみます。
広島にとっても参考にするべき所は多いはずです


建設資金の全額を寄付金でまかなうとあって、やり方に工夫が見られます

1つ目は寄付特典
寄付者全員にメモリアルカードが贈呈され、5万円以上寄付した場合はネームプレートを。
これはお寺などの建設・修繕にも良く活用されている方法ですね

2つ目はタイアップ募金
賛同する企業の売上の一部を募金に回す企画で、まさにwin-win。
現時点ではパティスリーブラザーズのみですが、寄付期限の3月までに増えるかもしれません

【参考】
タイアップ募金第一弾】パティスリーブラザーズ「for Osaka dream box」 発売決定!
《スタジアム建設募金団体公式ホームページ 2012年11月3日閲覧》

今回はボリュームが多いのでこれ以上は触れませんが、たくさん参考になる部分があります。
ふるさと寄付金の制度税制上の取扱いなども)
スタジアム建設募金団体のホームページは頻繁に更新されているため是非とも見てみて下さい

ガンバ大阪の計画は、広島のスタジアム特集にも取り上げられています。
現在はユアスタやフクアリがモデルケースとなっていますが、建設後はこのスタジアムこそが向こう10年間のモデルケースとなることでしょう





④おわりに
終盤は少し駆け足になってしまいました。
繰り返しになりますが、現計画の部分はスタジアム建設募金団体のホームページご覧下さい。
めざすスタジアムの動画を見るだけでも涎が出てきます


ガンバ大阪は残念ながら2013年シーズンをJ2で戦います。
その責任を取って、スタジアム建設を推進していた金森氏の退任も決まりました
ただし、後任はスタジアム建設本部本部長を努めていた野呂氏。
絶対にスタジアムを建てるんだという意思を私は感じました

昔からスタジアムを求めながら足踏みを繰り返していたガンバ大阪が先陣を切った格好。
京都でも建設地が亀岡に決定したという話です

2013年1月11日現在、広島は367,454件の署名を集めています。
この2クラブに負けないように私たちも強い意志で前に進まなくてはなりません。
2003年を繰り返してはいけない

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第30節G大阪戦 ~プレッシャーの量だけサッカーも楽しくなる~

スポーツ名言集
《Number Web 2012年10月29日閲覧》

プレッシャーの量だけ、サッカーも楽しくなる。
ドゥンガ(サッカー)


424号(1997年7月31日発売)
ブラジル代表に復帰後、フランスW杯に向けてのインタビュー。
負けられないというプレッシャーをキャプテンの立場で楽しんでいた。

タイトルは元磐田のドゥンガの言葉から



①万博での一戦
天気は快晴。10月も終わりだというのにじっとりと汗ばむくらいの陽気でした

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今回は茨木駅からのシャトルバスを利用。
シャトルバスの待機列も去年まで以上に長かったのではないでしょうか。
ちょっとしたことですが、片道210円よりも200円など支払いやすい金額にしてもいいと思う

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ガンバ側ゴール裏ゲートに掲げられたフラッグ。
どんな相手でも難しい試合になるのがJリーグ。
その中でも特に残留を争うチームの必死さは本当に恐ろしいものです

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他の場所でも食べられるのが分かっていてもつい並んでしまうくくるのたこ焼き。
ものすごい行列で、最後尾から購入まで1時間以上かかりました。
試合開始に間に合わなかった、あるいは諦めた人も多かったでしょう

画像は、年間パス優先販売口。
年間パスに付加価値を付けることは非常に大事なことです。
年間パスはクラブを安定的に支える収入源の1つですから

実際に、優先列の回転は一般列に比べて相当早かったです。
ただ、それでも全体的に列の動きは鈍く、観客が来るときはもっと量産体制にした方が…


②芝かぶり席
以前まではゴール裏でしたが、今回はSB席。
ゴール裏の紫一色を写真に収めたかったのが一番の理由

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綺麗な紫色。
試合開始前のコールもよく響いていました

この試合で気になったのは芝かぶり席

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「芝かぶり席」とは、相撲の「砂かぶり席」をヒントに作られた座席です。
スタンドよりも近くから選手のプレーが見れるため迫力が全く違うとか。
マツダスタジアムの砂かぶり席もその仲間

【参考】
個人・少人数向け観客席
《広島東洋カープ公式サイト 2012年10月29日閲覧》

サンフレッチェでも、この芝かぶり席2008年シーズンから導入しています。
これは、サービス提供という意味の他に"臨場感"を伝えたいという狙いがあったそうです

第4回サポーターズ・カンファレンス議事録(2008年12月14日)

1.クラブ運営(本谷)
 皆さんご存じのとおり、「芝かぶり席」というのをやりました。個人的には、あれは「専用競技場を早く欲しいんだ」というメッセージを込めたつもりなんですね。来年はできるだけ、あの席を常態化した中でやりたいのですが、やはりサッカーをしっかり楽しんで頂くハードの整備が大事です。私たちは当然動いていきますが、必ず皆さんに(サポートを)お願いする時期がやってきます。そのときには、よろしくお願いしたいと思います。

他のクラブでも順次導入されており、ガンバではSCSKシートとして販売しています。
2009年から導入したクラブが多いので、Jリーグから指示あるいは提案があったのかも

この座席の位置はクラブによって違うようです

2012sanf-shiba
サンフレッチェ広島公式サイトより》

2012gamba-shiba
ガンバ大阪オフィシャルサイトより》

他のクラブも見てみたところ、山形鳥栖では広島と同じようにコーナーフラッグ付近。
セレッソ愛媛ではガンバのようにバックスタンド付近に設置されているようです。
スタンドなどの位置関係の問題?


③スタジアム募金と署名活動
マリノスとのアウェイゲームのように公式で事前告知はありませんでしたが署名がありました。
場所は、ガンバ大阪のスタジアム模型を展示しているスペースのすぐ隣

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ちなみにガンバのスタジアム模型はこんな感じ。
ネット上で見るのとでは、百聞は一見にしかずといったところです(ちょっと違う)

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ガンバは新スタジアムを全額寄付金でまかなおうというコンセプトで動いています

その中で、新しい試みとしてあったのがタイアップ募金。
元ガンバ大阪の嵜本晋輔氏がご兄弟で経営している洋菓子店パティスリーブラザーズの商品"for Osaka dream box"を購入すると売上げの10% が寄付に回るそうです 

121027-08

買ってきたお菓子については追記で少しだけ紹介しておきます。
また、スタジアムの話は次回のブログで取り上げる予定なのでこれくらいで


④見えないプレッシャー
試合は、MF遠藤の綺麗なゴールで先制されましたが、カズのゴールで追いついて引き分け。
マリノス戦から連敗はないものの10月の3試合で勝ち点2と足踏みをしているように見えます

特にこの試合では普段しないようなパスミスが多く、リズムを崩していた印象でした。
選手は皆、重圧は感じていないというコメントをしていますが、そう簡単ではないでしょう。
見えないプレッシャーがあったのだと思います

その重圧もすべて今後にいきていく経験となるはず。
3位浦和は1分2敗と苦しんでいますが、2位仙台は2勝1分と好調です。
順位上は首位でも、トップを走っている印象は余りありません

このハラハラドキドキ感が選手だけでなくクラブもサポーターも育ててくれるのでしょう。
私たちもこのプレッシャーを満喫して応援の声を送らないと。
サッカーは楽しいものではなく愉しむものですから

最後にプロ野球の野村克也氏の名言で〆たいと思います。
一戦必勝

野村克也の名言
《名言ソーシャルネットワークFesh 2012年10月29日閲覧》

優勝というのは強い、弱いかで決まるんじゃない。
優勝するにふさわしいかどうかで決まる


野村克也 『野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉』より
続きを読む

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各地で広がるスタジアム建設・改修運動

サッカースタジアム建設 広島で早期実現を!
《12年9月12日閲覧 サンフレッチェ広島》

私たちは、選手のひたむきな表情や息遣いを感じる、そんな臨場感のある空間に行ってみたいと熱望しています。Jリーグや日本代表の国際試合、さらには海外のクラブチームとの交流試合などキッズからシニア、レディースまでの全てのカテゴリーでのイベントがここで開催されることを夢見ています。

スタジアムはサッカーの試合観戦だけでなく、多目的に誰もが楽しめる快適な空間として、そして広島のスポーツ文化・振興の発信拠点として機能していくものと考え、8月2日・3日広島県サッカー協会・サンフレッチェ広島後援会・サンフレッチェ広島の3者で『サッカースタジアム建設の要望書』を行政および経済関係団体に提出いたしました。すでに12,463件の署名をいただいておりますが、スタジアム建設の早期実現を達成するために、これまで以上に署名活動を推進してまいります。

皆様のご協力をよろしくお願いいたします。


かなり乗り遅れてしまった感がありますが、このような署名活動がスタートしています。
場所に関しては二の次。活動が大きなうねりになることを期待しています

今回はサンフレッチェのスタジアム建設運動の宣伝。
そして、他の地域での署名のお話を簡単にご紹介したいと思います

---

①近年終了した署名活動など
調べてみて気づいたのですが、ここ数年スタジアム建設・改修運動が活発化しているような。
北九州ではスタジアム建設が決まったそうですし、キンチョウスタジアムも最近出来たばかり

やはり、クラブライセンス制度の影響が大きいのかもしれません

今回はその中でもガンバ大阪とAC長野パルセイロにスポットを当ててみました。
沖縄や静岡の方でも確認しているのですが、スペース上リンクだけにさせてください

【参考①】
ギラヴァンツ北九州、16年春に2万人収容の新スタジアム
《12年9月12日閲覧 サポティスタ》

【参考②】
「沖縄初のJリーグチームを誕生させる会」署名報告会見

《12年9月12日閲覧 FC琉球公式サイト》

【参考③】
スタジアム整備を 市に要望書、署名5万5千人分提出

《12年9月12日閲覧 静岡新聞》 

◆ガンバ大阪のケース
サッカースタジアム建設要望署名へ ご協力のお願い
《12年9月12日閲覧 ガンバ大阪オフィシャルサイト》

そして、11月7日(月)より、ガンバ大阪吹田後援会が中心となり万博記念公園内へのサッカースタジアム建設を推進するため、要望署名の活動が開始されました。

(中略)

 【署名活動概要】
署名目標:10万人
活動期間:11月7日(月)~11月30日(水)
提 出 先:吹田市長および吹田市議会
提 出 日:2011年12月6日(火)
対象:年齢、居住地不問 
ガンバ大阪吹田後援会 吹田市への要望署名提出について
《12年9月12日閲覧 ガンバ大阪オフィシャルサイト》

皆様からいただきました署名を本日12/5(月)に吹田市へ提出いたしましたことご報告させて頂きます。
【提出署名筆数 206,207筆】

わずか1ヶ月で20万筆。
知名度、宣伝、大阪の人口、オフィシャル活動などの要素があるとはいえ…すごいです。
イメージパースなど具体的な活動が見える形であったことも大きいかもしれません

個人的にはなんとしても作っていただきたいところ。
西日本にスタジアムがあることはJだけでなく広島にとっても有益です

【参考】
みんなの寄付金でつくる日本初のスタジアム!
《12年9月12日閲覧 スタジアム建設募金団体公式ホームページ》

◆AC長野パルセイロのケース
Jを長野に! みんなの力でAC長野パルセイロをJへ
《12年9月12日閲覧 “J”を長野に アスレながのオフィシャルサイト》

AC長野パルセイロはJリーグ入りを目指してがんばっています。しかし残念なことに北信にはJリーグを開催できるスタジアム(競技場)がありません。ファンの皆様一人ひとりの署名がAC長野パルセイロを「J」に昇格させる力になります。競技環境を整えたいという私たちの希望を、署名を通じて長野県、長野市をはじめとする北信の自治体に伝えます。皆様のご協力をお願いいたします。
「AC長野パルセイロがJリーグ加盟に必要な行政支援を求める署名活動」中間報告
《12年9月12日閲覧 “J”を長野に アスレながのオフィシャルサイト》

この活動は3月から開始し、震災の影響で休止後、7月に再開し、10月末までに4万人の署名の収集を目標としております。9月30日(金)現在、事務局で回収を終えた署名は、34,749人分となっています。
「AC長野パルセイロがJリーグ加盟に必要な行政支援を求める署名」の提出について
《12年9月12日閲覧 “J”を長野に アスレながのオフィシャルサイト》

アスレながのおよびAC長野パルセイロを支援するサポーター有志は、AC長野パルセイロがJリーグ加盟に必要な行政支援を求める署名活動を行い目標の4万を大きく上回る86551筆の署名があつまりました。これを受け、2011年11月10日(木)にAC長野パルセイロの活動拠点である長野市長様および長野市議会議長様に署名を提出し、陳情を行いました。皆さまのご協力、誠にありがとうございました。

スタジアムを要望するのはJクラブに限られません。
特に、Jリーグ準加盟のクラブの重大な関心事になってくるわけです

AC長野パルセイロは長野県のJFLチーム。
現在JFL首位をひた走っています(とはいえ昇格は難しいという話ではありますが…)

この署名を受けて今年8月にスタジアムの改修計画が発表されました。
署名が効力を持ったケースとして勇気づけられるケースですね

【参考①】
南長野運動公園総合球技場 整備事業について
《12年9月12日閲覧 pdf注意 長野市ホームページ》

【参考②】
南長野運動公園のJ1仕様改修費80億円 長野市が示す
《12年9月12日閲覧 信濃毎日新聞》

【参考③】
【JFL】AC長野パルセイロ、スタジアム改修のためJ2昇格は2016年以降に

 《12年9月12日閲覧 ドメサカ板まとめブログ》

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②現在頑張っている署名活動など
前述したとおり、広島がスタジアム建設の署名を始めています。
一方で他地域だってやっているんです

その中から今回は東京ヴェルディ、V・ファーレン長崎、ヴォルカ鹿児島の3つをご紹介。
他の地域は把握できていないのでTwitterなどで教えていただけると嬉しいです

◆V・ファーレン長崎のケース
サッカー専用スタジアム建設署名活動について
《12年9月12日閲覧 V・ファーレン長崎》

そんな中で、現在、V・ファーレン長崎を応援してくださるサポーター・企業・団体を中心に「長崎市にサッカー専用スタジアムを作ろう」という機運があります。県都長崎市にサッカー設備が誕生する事はV・ファーレン長崎にとっても地域密着を展開していく上で大きな力となります。また、V・ファーレン長崎としても県内施設が改善され、長崎県立総合運動公園陸上競技場というJリーグ基準の施設が完成する今こそ、V・ファーレン長崎が本来目指す「スポーツと街作りの両立」という命題に対して深く、しっかりと議論が出来る時期なのではないかと思います。

そこで9月17日(月・祝)からスタジアム建設を求めた署名活動を行う事となりました。建設を強行に求める為の署名ではありません。V・ファーレン長崎が目指す「スポーツを通じた街作り」を広く訴え、皆で協議していこうという為の署名です。県民の草の根レベルの意見として署名を集め、議論を深め、実践していける部分は実践していこうという為の署名です。

こちらはつい先日(9月10日)始まったばかりの署名活動です。
JFL所属のV・ファーレン長崎がオフィシャルで行っていくようですね。
特に期日や目標は定められていないので、気楽に署名してもいいのではないでしょうか

最後のパラグラフで「強行に求める為の署名ではありません」と繰り返しています。
色々察することが出来るわけですが、更なる機運が高まることを期待したいですね

◆ヴォルカ鹿児島のケース
Jクラブ誕生・J基準スタジアム確保を目指した署名活動開始のお知らせ
《12年9月12日閲覧 ヴォルカ鹿児島》

鹿児島からJクラブの誕生を実現させ、その前提となるJ準加盟資格要件の一つ「特定ホームタウン(鹿児島市)内にJリーグ基準を満たすスタジアムの確保」を目指して署名活動が行われることになりました。

こちらは今年5月からスタートしている署名活動。
スタジアムの確保というのは今まで取り上げてきた活動と少し変わっていますね。
これは、現在九州サッカーリーグに参加しているヴォルカ鹿児島のオフィシャルが主体です。
(ちなみに来年からチーム名が変わるんだとか)

なんだ地域リーグかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、うまくいけば年内にもJリーグ準加盟の申請が通るのだとか。決して遠くでの話ではありません

ヴォルカ、Jリーグ準加盟再申請へ始動
《12年9月12日閲覧 373news.com》

Jリーグが競技場要件の緩和など準加盟の規定を改定したことを受け、ヴォルカ鹿児島の中島和彦社長は3日、県庁で記者会見を開き、昨年中断した申請手続きを再開すると発表した。順調に進めば、年内にも資格取得可能という。

◆東京ヴェルディのケース
「東京23区内」に「サッカースタジアム」建設を求める署名サイト
《12年9月12日閲覧 「東京23区内」に「サッカースタジアム」建設を求める署名site》

【署名活動のお願い】

首都、東京都23区内に「サッカースタジアム」の建設を求める署名活動を東京都を、スポーツを、サッカーを愛する皆様と共に行いたいと思っております。
東京23区内にサッカースタジアムの建設をと心から願う私達の想いにご理解・ご協力頂ける方々のご署名を頂きたく、ここにサイトを立ち上げました。
皆様から頂いたご署名は、「練馬区議会」と「東京都議会」に要望書と共に、提出させて頂きます。

こちらは上記5つとは異なり、完全にサポーターによる活動です。
にもかかわらず、プライバシーポリシーなどしっかりとした準備をされているのが窺えます。
セブンイレブンのネットプリントにも対応してるそうですよ


ということですので、15日に日産スタジアムに行かれる方は是非

---

そんなわけで全国の署名活動をざっくり見てきました

サンフレッチェの署名活動締め切りは今年中だそうです。
20万筆と聞くと難しく思えますが、他の活動を聞くと決して不可能ではないことが分かります

ただし、安穏として座して待っていても20万筆は集まりません
少し気合いを入れてギアを上げながら頑張っていく必要がありそうですね


最後に他サポに協力してもらえた話を紹介して終わりにしたいと思います。
この話を聞いて改めて思いました。Jサポ最高だ

【参考①】
【スタジアム】磐田戦での署名活動で驚いたこと
《12年9月12日閲覧 サンフ欠乏症ブログ》

【参考②】
磐田戦での署名活動の結果
《12年9月12日閲覧 高槻熊のSIGUMAブログ》



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